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個別引当の貸倒引当金はスケジューリング可能 or 不能?-繰延税金資産の回収可能性

スケジューリング不能な将来減算一時差異については繰延税金資産の計上が認められませんが、個別引当で計上した貸倒引当金については、スケジューリング可能か否かが今回のテーマです。

この点について、「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(監査委員会報告第66号)の「4.スケジューリングが不能な一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断指針」において、以下のように規定されています。

スケジューリングが不能な一時差異のうち、将来減算一時差異については、原則として、税務上の損金算入時期が明確となった時点で、その回収可能性の判断に基づき繰延税金資産を計上できるものとする。ただし、期末において損金算入時期が明確でない将来減算一時差異についても、例えば、貸倒引当金等のように、将来発生が見込まれる損失を合理的に見積ったものであるが、その損失の発生時期を個別に特定し、スケジューリングすることが実務上困難な場合には、過去の損金算入実績に将来の合理的な予測を加味した方法等により、合理的にスケジューリングが行われている限り、スケジューリングが不能な一時差異とは取り扱わない

とういうわけで、関連書籍でも「過去の損金算入実績に将来の合理的な予測を加味した方法等により、合理的にスケジューリングが行われていればスケジューリング可能」というような解説がなれていて、それ以上は書いていなかったりします。

そこで、上記は貸倒実績率によって算定した一般引当をいうのではないかというような意見が出てきます。債権の回収期間が1年以内の会社であれば、過去3年の貸倒実績率によって貸倒引当金を計上するというのは、期末の対象債権残高の内、翌期に貸倒が生じる額を合理的に見積もったと考えられる一方で、例えば債務超過に陥っており返済も滞っているA社に対する貸付金について100%個別引当を計上したという場合においては、この貸倒が税務上いつ実現するのかを合理的にスケジューリングするというのが難しくスケジューリング不能と考えられるためです。

しかしながら、上記のような個別引当であっても、債務超過で収益改善の見込みがない会社であれば、少なくとも5年以内に税務上も貸倒損失として実現すると考える方が合理的だと思います。むしろ、貸倒実績率で計算された一般引当よりも、実損として実現する可能性はこちらの方が高いのではないかも思えます。

現在は税率の改正によって解消が見込まれる年度が異なると繰延税金資産として計上される金額も影響をうけるので、どの年度で解消するのかというのも重要といえば重要ですが、それほど大きな影響はないはずです。

過去の実績から、債務超過に陥っている貸付金はこのくらいで税務上も損金算入できるというようなデータに基づいて解消時期を判断できればベストですが、貸付金に対する個別引当の場合は、そんなにたくさん貸倒実績はないと思いますので、一律3年目とみなすというような一定のルールを設定しておくのがが現実的な対応ではないかと思います。実際、傾向をウォッチしてみて、あきらかにタイミングが異なるというのであれば調整していけばよいのではないかと思います。

なお、個別引当でも、破産申立てをしたというようなケースであれば、手続きに要する期間は配当がある場合で7カ月程度、配当がない場合で5か月程度ということなので、翌期実現するものとしてスケジューリングするというようなことも可能と考えられます。

他の手続きについても、平均的に手続き完了までにかかる期間を調べて、その期に実現するというような方法が考えられます。

上記で紹介した監査委員会報告第66号では「例えば貸倒引当金で」と「等」がついていますが、他にどのようなものが考えられるのかですが、例えば、非上場の株式で出資先の財政状態が著しく悪化したため減損した場合の評価損が該当する可能性があります。

ただし、下落率が60%というようなケースではなく、債務超過のため備忘価額1円まで減損しているようなケースのみ該当すると考えられます(もちろん、売却予定がある場合等は別です)。

考え方は貸誰引当金の個別引当と同様ですが、債務超過に陥っているような会社で簿価を1円まで切り下げたような場合には5年以内に税務上も損が実現する可能性が高いものと考えられますので、一定のルールを決めてスケジューリングを行うということも考えられます。

ただ、本音としては変化が激しい環境の中で、5年と言わず3年でも自信をもって自社の損益を予想できる会社がどれくらいあるのか疑問ですし、監査人も本当にそれを妥当かどうかを判断できるとは思えませんので、次年度の予算で解消が見込まれる部分のみ計上を認めるとか、本表に織り込むことをやめて、完全な注記項目とするとかしたほうが作成する方も利用する方も納得感が高いのではないかと思えてなりません。

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