閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

敷金を現物出資することはできるのか?

今回は、敷金を現物出資することはできるのか?についてです。

そもそも、現物出資は変態設立事項として会社法で定めれられているものであるので、会社法で現物出資をどのように規定しているのかが重要となります。

この点については、「現物出資を何で行うかは、動産・不動産・手形・有価証券・出資金・鉱業権・特許権など貸借対照表能力を有するものである限り、その対象となりうる。それは財産権の移転に限らず、使用収益権の設定でもよく、金銭の出資に加えて複合的に出資するものも含まれる。したがって、事業の全部又は一部も現物出資の対象となりうる」(「現物出資と現物分配の税務」(木村一夫))とされています。

貸借対照表に敷金として計上されている金額は貸借対照表能力があるはずですので、上記からすれば敷金を現物出資することも可能と考えらえます。もっとも、金融商品実務指針133項において「賃貸人の支払能力から回収不能と見込まれる金額がある場合には、貸倒引当金を設定する必要がある。」とされているので、そのような場合は貸倒引当金控除後の金額が貸借対照表能力を有するが金額ということになると考えられます。

と、これで終わればわかりやすくてよいのですが、ネットで検索すると敷金や差入保証金を現物出資することはできないと解説しているものが散見されます。

理由として挙げられているのは、概ね以下の二つです。

①敷金は金銭債権ではないから

これは、敷金は物件を明け渡したときに初めて返還請求権という金銭債権になるため現物出資することができないというものです。しかしながら、敷金が金銭債権でないにせよ、貸借対照表能力があることは明らかなので、金銭債権でない状態の敷金が現物出資できないという根拠にはならないのではないかと考えられます。

②敷金は実際にいくら返還されるかわからないから

これは、敷金は通常原状回復費用を差し引いた金額が返金されることになるため、評価額が確定できないからというものです。しかしながら、基本的に資金は全額返金されるのが原則ですし、いくらになるかがわからないというのであれば、土地であろうと建物であろうと実際に現金化してみないといくらになるかはわからないので、これも理由としては弱いと思います。

とすれば、やはり敷金も現物出資できそうですが、敷金を現物出資できないとする根拠を発見しました。

それは、登記上の理由です。裁判上の判例のように登記にも先例というものがありますが、その中に「賃借物の返還により既に発生している敷金返還請求権の現物出資は可能であるが、賃貸借契約が継続中であるなど、敷金返還請求権が現に発生していない場合には,これを現物出資の目的とした設立の登記の申請は、受理することができない」というものがあります。

すなわち、「賃貸借契約が継続中」の場合、敷金を現物出資財産とすると設立の登記ができないということになります。ここから推測するに、増資の場合も同様ではないかと思います。ただし、この点ついては、法務局と交渉の余地があるようです。

まとめると、会社法上の考え方では敷金も現物出資対象となりうるが、登記ができないことから、実務上は敷金は現物出資できないと言われることが多い、ということのようです。

日々成長

関連記事

  1. 取締役の就任に委任契約の締結は必要か

  2. 株式の無償発行を会社法上可能とする方向で検討

  3. 監査役監査の監査報告書ひな形の改正

  4. 当初総会でも前事業年度の配当可能限度額内であれば配当決議可(継続…

  5. ユニチャームが監査等委員会設置会社へ定款変更

  6. 役員報酬が総会決議枠を超えるミスが散見されたそうです。




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,838,787 アクセス
ページ上部へ戻る