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少数私募債の利息が総合課税の対象に!-平成25年税制改正予定

税務関連の月刊誌・週刊誌では、平成25年税制改正の内容が頻繁に取り上げられていますが、よく見かける内容の一つに少数私募債の課税方法の変更があります。

簡単にいえば、従来は、少数私募債の支払利息については源泉分離課税が適用され所得税15%・住民税5%の源泉徴収で課税関係が終了していたのに対し、平成25年税制改正によって、平成28年1月1日以後に発行された社債の利息から総合課税の対象となる予定というものです。

それがどうした?というのが一般的な感想ではないかと思いますが、一方で少数私募債を利用して節税を図るというのは比較的ポピュラーな手法のようで、そのような節税スキームを利用している人にとっては大きな改正になるようです。

そもそも少数私募債とは何か?ですが、以下の四つの要件を満たす社債のことを少数私募債といいます。

①株式会社が発行するものであること

②50名未満の縁故者(社長、社長の親族、社員、取引先など)のみを対象に引き受けを募集するものであること。なお、取引先といえども、銀行や証券会社等への発行は認められていません。

③譲渡制限付(譲渡には取締役会の承認を必要とし、かつ所有口数全部を一括譲渡するものであること)の社債であること

④社債口数(社債発行総額÷社債1口の額面)が50未満であること

そして、少数私募債には以下のようなメリットがあります。

①有価証券届出書等の提出が不要となる。

②会社法702条に定めれている社債管理会社の設置が不要となる。

③発行手続が簡便(取締役会の承認のみで発行可能)である。

④発行条件(償還期間、発行額、利率など)も基本的に取締役会で自由に決定可能である。

前述のとおり、現行法では少数私募債の社債利息は源泉分離課税の対象となる一方で、会社の社長が会社に対する貸付金から得た利息は雑所得として総合課税の対象となります。

この場合、社長の所得に適用される総合課税の税率が源泉分離課税の税率よりも高い場合には、貸付金のかわりに少数私募債を発行し、それを引き受けることによって節税が図れるということになります。

では、どの程度の節税が図れるものなのかですが、以下の前提で計算してみます。

・社長さんの年収を2,500万円(貸付金の利息80万円を含む)

・会社への貸付金が4,000万円(利率2%)を同率の少数私募債に変更

・健康保険の自己負担率5%、厚生年金保険料の自己負担率を9%と仮定し、自己負担額を140万円とする(≒(健康保険料121万円×5%+厚生年金保険料62万円×9%)×12カ月分)

貸付金の場合

課税所得=2,500万円-245万円(給与所得控除の上限)-140万円(社会保険料控除)-38万円(基礎控除)=2,077万円

所得税+住民税(10%)=(2,077万円×40%-279万6000円)+(2,077万円×10%)≒759万円

少数私募債に変更した場合

課税所得=2,420万円(変更前の年収-利息80万円)-245万円(給与所得控除の上限)-140万円(社会保険料控除)-38万円(基礎控除)=1,997万円

所得税+住民税(10%)=(1,997万円×40%-279万6000円)+(1,997万円×10%)+80万円(利息)×20%(源泉分離税率)≒735万円

したがって、上記の例では約24万円の節税が図れるということになります。

上記程度の節税額を目的として、あえて少数私募債を発行するかは意見の分かれるところだと思いますが、少数私募債の金額および利率が大きければ大きいほど節税の効果が大きくなります。また、所得税の最高税率が45%に引き上げられれば課税所得の金額によって、やはり節税効果が大きくなります。

とはいえ、利率が市場金利に比して高すぎる場合には役員給与や賞与と認定される可能性が考えられます。また、財務内容が健全で資金需要があまりない会社が少数私募債を多額に発行し、社長が引き受けているような場合は、役員報酬の付けかえとみられる可能性も否定できません。

一方で、資金が必要な会社の場合、社長もそれほど報酬をとっていないケースが多いと考えらえるので、このような節税のメリットを享受することは難しいと思います。

設備投資等の資金需要が旺盛な成長企業で、社長などの報酬も高いことなどにより資金力がある場合が、このスキームにもっとも適しているといえそうですが、そのようなケースは稀ではないでしょうか。だとすれば、ある程度のリスクを覚悟してやるか、少しでも節税できればよいと割り切るかのどちらかということになるのではないかと思います。

この改正は平成28年1月1日以降に発行される社債から適用される予定とのことですので、駆け込み発行が増えるのかどうか気になることろです。

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