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「のれん」の費用化年数は米国82年、日本は9年

2016年10月3日にASBJがリサーチ・ペーパー第2号「のれん及び減損に関する定量調査」を公表しました。

これは、EFRAG(欧州財務報告諮問グループ)とASBJ(企業会計基準委員会)が実施した調査結果をまとめたもので、現時点で公表されているものは「仮訳」となっています。

調査対象期間は2005年から2014年までのデータで、以下の項目について調査した結果がまとめられています。

  1. 株価指数別ののれんの金額及び1社当たりののれんの金額の推移
  2. 純資産に対するのれんの割合及び時価総額に対するのれんの割合の推移
  3. 時価総額を(1)のれん、(2)のれん控除後の純資産、(3)未認識の価値に分解した場合の推移
  4. 減損と株価指数の比較の推移、及び前年末ののれんの金額に対する減損(該当がある場合、償却を含む)損失の割合の推移
  5. 2014年における業種別の1社当たりののれん金額、及び純資産に対するのれんの割合

上記の項目のうち、いくつかを紹介します。

まず、のれんの合計額の2005年から2014年までの推移として、以下のグラフが示されています。

goodwill_move
(出典:リサーチ・ペーパー第2号「のれん及び減損に関する定量調査」図1)

米国・欧州が日本・豪州に比べて非常に大きな水準にあるというのは、イメージどおりではありましたが、ここまで開きがあるというのは驚きでした。ただ、米国ではスタートアップ企業がM&Aで上場企業に高値で買われるというのは珍しくありませんが、日本ではそのようなケースはあまり多くはないと思います。このような点も影響しているのかもしれません。

一方で、のれんを認識していた会社の1社当たりののれん金額は以下のように推移していると示されています。

goodwill_move_preco
(出典:リサーチ・ペーパー第2号「のれん及び減損に関する定量調査」図2)

欧州・日本・豪州は概ね横ばいといった感じで推移している中、米国は合計額同様、右肩上がりのグラフとなっているという特徴が見て取れます。
このレポートでは、のれんを認識していた会社の1社当たりののれんの金額の業種別の比較も示されており、電気通信サービスにおいて米国の1社当たりのれん金額が著しく大きくなっていることが示されています。

いわゆるIT系の企業がここに含まれるとすると、純資産に対して買収額が大きくなることでのれんの金額も大きくなる傾向があるということかもしれません。

もう一つ興味深いのは、認識されたのれんが完全に費用化されるまでの期間として、このレポートの調査結果では、米国:82年、欧州:37年、豪州:34年、日本:9年となっています。

この中で会計上「のれん」を定期的に償却することが求められているのは日本だけですが、感覚的に82年はさすがに長すぎるのではないかと思います。最終的に「のれん」って何だということが問題となるのだと思いますが、昔ならがらの超過収益力という発想では82年はないだろうなという気がします。

「のれん」以外の無形資産として計上されるべきもの以外が「のれん」として計上されているとすると、人から生じる、あるいは人に関連した部分が大きいのではないかと思いますが、買収時にいた人は30年もすればほとんどいなくなるはずなので、長くても30年位が限界かなと個人的には思います。

日本でも、M&Aによる多額ののれんの償却負担を回避するのが目的だろう推測されるIFRSの任意適用会社もでてきています。最近では、メタップスのIFRSの任意適用はこの点を強く意識したもののようです(当初、平成28年8月期末から任意適用を予定していたが、平成29年8月期第1四半期からに延期)。

実際、会社の決算説明資料ではIFRS適用のメリットとして”「のれん」による収益圧迫が軽減し、より実態に即した業績数値を開示可能。一方、将来的には「のれん」の減損処理リスクに留意が必要”と記載されています。

同社では平成27年8月期には0であった「のれん」が平成28年8月期末には約28億円となっており、CF計算書から、のれんの償却負担は約1.7億円となっていることがわかります。

何をもって実態というのかは難しいところではありますが、のれんの減損をどの単位で判断するのが適切かというようなことは、相当程度判断が入る内容であり、一般的に理解しにくい部分もあります。

たとえば先日、IFRSを任意適用しているDeNAが「海外子会社の解散及び清算に関するお知らせ」という適時開示を行いました。適時開示の内容は、ゲーム事業に関わる海外子会社(ngmoco, LLC 等を含む)が想定した成果を上げられないため清算するというものですが、これらの会社に関連して生じたのれんについては、以下のように述べられています(一部抜粋)。

DeNA Global, Inc.等の解散に際し、連結決算(国際会計基準)において、ngmoco, LLC 等の取得にかかるのれんに関する減損損失は認識しない見通しです。当社では、展開地域を跨いだゲーム事業全体を単一の資金生成単位としておりますが、現状、当該資金生成単位に含まれる資産簿価に対して、ゲーム事業全体の見積もり公正価値が帳簿価額を上回っているためであります。

会計基準的には正しいとしても、普通の感覚からすれば、解散する会社に関連するのれんが減損の対象とはならないという点については、何かおかしいような感じがするのではないでしょうか?

個人的には、20年程度で償却できない「のれん」が計上されるM&Aを実行して本当に大丈夫なのだろうかという気がするので、現行の日本基準の処理のほうが投資する側としても安心できると思いますが、日本企業の多くが他社を買収することでしか成長していく道がないと感じるようになると、会社サイドの要望から日本基準も他国の会計基準同様、なんだかんだ理屈をつけてのれんの償却がなくなるのかもしれません。

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