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平成30年度税制改正を確認-法人税(その3)

前回の続きです。平成30年税制改正のうち、法人税法関連の主な改正点を確認していきます。

7.所得拡大促進税制の見直し

(1)中小企業者等以外

賃上げと生産性向上のための税制として、所得拡大促進税制が見直されています。一定の要件を満たしたことにより当該税制を最大限に適用できる場合には、企業の税負担が20%程度まで引き下げられるとされています。一方で、要件が厳しくなっている部分もあるため、改正により税額控除を受けることができなくなる可能性もあるので注意が必要です。

雇用者給等支給額が増加した場合の税額控除制度について、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、以下の要件を満たす場合に、税額控除を適用することができるとされました。

  1. 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以上であること
  2. 国内設備投資額が、当期において償却費として損金経理した減価償却費の90%以上であること

税額控除を受けるための要件が厳しくなったといえると考えられます。改正前は基準雇用者給与等との比較において5%以上という要件はありましたが、基準年度は「平成25年4月1日以後に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の開始の日の前日を含む事業年度」とされていました。わかりにくい表現ですが、ともかく5年くらい前の事業年度と比較して5%で、かつ基準年度は変化していませんでしたので、今まで税額控除の適用を受けていたのであれば、この要件はあってないようなものであったといえます。

あとは、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であり、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額よりも2%増加していれば税額控除が可能でした。大雑把に捉えると、改正前は前年よりも平均2%以上給料があがっていれば、税額控除を受けられる可能性が高かったイメージしていただければよいと思います。

平成30年度税制改正によって、上記の通り従来の2%が3%に引き上げられた上で、かつ、設備投資の要件が加わっています。

設備投資の要件における「国内設備投資額」とは、法人が当期において取得等をした国内にある減価償却資産となる資産で当期末において有するものの取得価額の合計額をいい、「減価償却費の総額」とは、その有する減価償却資産につき投資償却費として損金経理をした金額(前期の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含む)とのことです。

そもそも固定資産額が大きくない業種では、前事業年度にまとまった設備投資をしてしまい、定率法で減価償却を実施しているような場合には、この要件を満たせないというようなことも考えられますし、ソフトウェア業で、当期は研究開発に注力するというような場合にも、当期取得の固定資産額が少なくなることにより要件を満たせないということも考えられます。

なお、平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額を算定する際の、「継続雇用者」の範囲が見直されており、当期と前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定のものとされました。この改正により、継続雇用者のカウントがかなり楽になると思われます。

税額控除額については、給与等支給増加額×15%(法人税の20%を限度とする)と改正されました。さらに教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が20%以上である場合は、15%が20%に引き上げられることとなっています。

今まで教育訓練にお金をかけていなかった企業ほど追加で税額控除が受けやすいというのもいかがなものかと思いますが、対象となる教育訓練費が少ない企業は、少し教育訓練を追加して、プラス5%のメリットを享受するとよいのではないかと思います。

(2)中小企業者等

中小企業者等については、税額控除の要件は、「平均給与等支給額が比較平均給与等支給額よりも1.5%以上増加していること」だけとなっています。

税額控除額については、給与等支給増加額×15%(法人税額の20%を限度とする)というのは(1)と同様ですが、一定の要件を満たす場合には15%が25%となります。一定の要件とは、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額よりも2.5%以上増加していることに加え、以下のいずれかの要件を満たすことが必要とされています。

  1. 教育訓練費の額が前期の教育訓練費の額よりも10%以上増加していること
  2. 前期末に中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、経営力向上が確実に行われたものとして証明されたこと

8.情報連携投資等の促進に係る税制の創設

いわゆるIoTに投資を行った場合に、特別償却又は税額控除を選択適用できる制度(コネクテッド・インダストリー税制)が創設されます。なお、中小企業等以外の法人の場合、以下の全てに該当する場合には、当該税制の適用を受けることができないとされています。

  1. その事業年度の所得金額が前事業年度の所得を超えていること(設立事業年度又は合併等の日を含む事業年度を除く)
  2. 継続雇用者等支給額が前事業年度以下であること
  3. 国内設備投資額が当期の減価償却費の総額の10%以下であること

なお、上記要件すべて該当した場合には、試験研究を行った場合の税額控除制度(措法42の4)の適用も受けられないこととされていますので、要注意です。

情報連携投資等の促進に係る税制の適用を受けるための要件は、煩雑で、まず、生産性向上措置法の革新的データ産業活用計画を作成し、主務大臣の計画認定を受ける必要があります。

計画が認定される要件には、データ連携の内容、セキュリティ面、生産性向上目標がありますが、このうち生産性向上目標では、投資年度から一定期間において、以下のいずれも達成見込みであることが必要とされています。
・労働生産性:年平均伸率:2%
・投資利益率:年平均15%以上

上記計画の認定を受けた上で、平成33年3月31日までの間に、計画に基づいて総額5,000万円以上のソフトウェア(そのソフトウェアとともに取得又は製作をした機械装置又は器具備品がある場合には、これらの取得価額の合計額を含む)を新設または増設し、革新的情報産業活用設備の取得等をして、その事業の用に供することが必要とされています。

特別償却を選択する場合は、一律取得価額×30%とされていますが、税額控除を選択する場合には、賃上げ率が3%以上か否かによって税額控除額が以下のように異なります。

賃上げ率3%未満:取得価額×3%(法人税額の15%限度)
賃上げ率3%以上:取得価額×5%(法人税額の20%限度)

今回はここまでとします。

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