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震災関連の寄付金は特別損失?

たまたまですが、サイボウズ株式会社という会社の第2四半期の連結PLを見ていて、以下のように特別損失の区分に寄付金5000万円が計上されているのが目につきました。

これはもしかして、東日本大震災への寄付金なのだろうか???と、同社のプレスリリースをさかのぼってみてみると2011年4月22日付の「東北地方太平洋沖地震の被災者の皆さんへの支援について」で、今期に5千万円、来期に5千万円を寄付することを予定しているという旨の記載がありました。金額からしても、この寄付金であることは間違いないようです。

会社として良いことをしているにもかかわらず「特別損失」に計上されてしまうと、なんだか残念な気がしてしまうのは私だけでしょうか?

今回のような震災への寄付金で多額の場合は、営業外費用として計上するというのはあり得るかもしれませんが、一般的に寄付金は販管費で計上されることが多いと思います。

そこで、他にも寄付を行った会社は多々あるはずなので、特別損失に寄付金が計上されている会社が他にもないか調べてみました。

まず、2011年3月31日の有価証券報告書で検索したところ、以下の会社で寄付金が特別損失に計上されていました(543件のヒットのうち300件を確認)。

①ハーモニックドライブシステムズ(1億5千万円)-2011年3月16日会社発表の「東北地方太平洋沖地震被災地への支援について」で金額確認

②スタートトゥデイ(約3億5千万円)-PL注記でチャリティTシャツの販売代金を寄付した旨が記載されている

③ドウシシャ(5千万円)-PL注記で震災関連の義援金である旨が注記されている

④クルーズ(5百万円)-「震災寄付金」と表示されている

同様に2011年6月30日の第1四半期報告書で検索したところ、サイボウズ以外に以下の会社で寄付金が特別損失に計上されていました。

①日本マイクロニクス(1千万円)-PL注記で震災関連の義援金である旨が注記されている
②ヤマトホールディングス(約32億円)-「復興支援に係る寄付金」と表示されている。ヤマトが宅急便1つにつき10円の寄付を行うというのは話題になったので記憶にある方も多いのではないかと思いますが、同社のHPによれば9月末時点で約68億円に達したそうです。すばらしい取り組みだと思います。

前期の有価証券報告書はヒット件数の約6割しか確認していませんし、特別損失で計上されていたとしても独立掲記されていないケースも考えられるので実際にはもう少し多くの事例が存在するものと考えられますが、どちらかといえば特別損失として計上するのはマイナーな表示のようです。

そもそも特別損失とは何かですが、財規95条の3で「特別損失に属する損失は、固定資産売却損、減損損失、災害による損失その他の項目の区分に従い、当該損失を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。」とされており、ガイドライン95の2で「(中略)通常の取引以外の原因に基づいて発生した臨時的損失等を記載するものとする」とされています。

たしかに今回の震災関連の寄付金については、通常の取引以外の原因で発生しており、臨時性もあります。あとは「損失」かどうかです。通常あまり意識することはありませんが、費用と損失の違いは何かと考えると、費用は「費用収益対応の原則」と言われるように収益を獲得するために貢献するもので、損失は純然たるマイナス、つまり収益獲得には貢献しないものといえると思います。

寄付金は費用なのか損失なのかですが、費用と考える方が妥当だと思います。今回の震災に対する寄付金を何故企業が行う必要があるのかを考えると、企業が持続可能なように社会的責任を果たすためと考えられます。つまり、直接収益獲得には貢献しないものの、将来的に企業が収益をあげて存続していくためのコストといえそうです。

だとすると、販管費として計上できないのであれば営業外費用として計上するほうが無難な気がしますし、特別損失とするのは折角よいことをしているのに経常には影響させたくないという思惑が見えて若干恰好悪く感じます。

もっとも、営業外費用として計上しなければならないなら寄付はしないというのでは元も子もないですし、絶対額で判断すべきではないのでしょが、ヤマトのような数十億円規模になってくると特別損失で計上してもいいのではないかと思ってしまうのも事実ではありますが・・・

特別損失の意味について改めて考えさせられました。

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