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出る杭はもっと出ろ!

オリンパスの過年度計算書類の訂正は何故5年分?

オリンパスは平成24年4月20日に開催される臨時株主総会で過去5期分(平成19年3月期から平成23年3月期)の計算書類の訂正の承認を受ける予定となっています。

オリンパスの粉飾はもっと前から行われていたとのことですが、今回修正決議がなされるのは何故過去5期分なのでしょうか?

今回はこの点について確認することにします。

「過年度決算訂正の法務 第2版」では、計算書類等を遡及して修正する場合、「たとえ何十年前の誤謬であろうとも遡って訂正するという方法もあり得るし、それが本来の形なのであろうが、実務的には困難な場合も想定されるので、合理的な訂正期間の問題は、会社関係者への情報開示の観点及び役員等の責任の観点から検討する必要があろう」とされています。

1.情報開示の観点

会社法442条では、計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書、監査報告、会計監査報告は、定時株主総会の2週間前の日から5年間、会社の本店に備え置かれ、株主及び債権者の閲覧に供されることになっています。

このことから、適切な情報開示の観点からすると、少なくとも過去5年分の計算書類等は訂正する必要があると考えられます。

2.役員等の責任の観点

会社法429条では役員等の第三者に対する損害賠償責任が定められています。例えば、取締役は、計算書類、事業報告並びにこれらの付属明細書に記載し、又は記載すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録をした場合に、当該行為を行うについて注意を怠らなかったことを証明しない限り、第三者に対し虚偽記載によって生じた損害を賠償する責任を負うことになります。

この役員等の第三者責任の消滅時効が何年かですが、短期消滅時効の定めはなされていないので、民法の一般原則通り10年(民法167条1項)と解されています。

ということは、粉飾が長期にわたって行われてきたのであれば、10年間修正すべきなのかということになりますが、「10年分の訂正が必要というわけではない」(過年度決算訂正の法務 第2版 P72)そうです。

計算書類等の訂正することの意味は、計算書類等の虚偽記載と第三者が被った損害等の因果関係を将来的に切断することができるということにあります。

つまり、訂正後の計算書類等に基づき投融資を行った第三者が損害を被ったとしても、過去の計算書類の虚偽記載を理由として役員等に損害賠償を請求することはできません。
逆から考えると、過年度の計算書類等を遡及的に修正したとしても、役員の責任が遡及的に治癒されるわけではなく、訂正前に投融資を行った第三者に対しては依然として責任を負うこととなります。

では、新たに投融資を行う者が、どの位前までの計算書類等を意思決定の情報として使用するかですが、「過年度決算訂正の法務 第2版」では「実務的には、詳細な計算書類については直近2年分又は3年分、計算書類の主要項目については直近3年又は5年分程度の情報が投資判断のために使用されることが多いのではないかと推測される」とされており、感覚的に妥当な期間ではないかと思いますし、「会社法が計算書類等の備置期間を5年間としていることも、それより過去の計算書類等については、会社関係者にとってさほどの重要性はないという立法上の整理とみることができよう」というのも納得です。

そして「以上からすれば、誤謬が当初生じた時点まで遡って訂正することが難しい場合には、直近5年分の計算書類等を訂正することで、実務的にはほぼ必要な処理を終えたものと考えることができよう」とされています。

実務上、こんなことを考える機会には恵まれないほうがよいですが・・・・

日々成長

 

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