閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

消費税(その6)-個別対応方式の用途区分4

少し間が空きましたが、今回は消費税の続きです。

個別対応方式の用途区分の基本的な内容は以前書いたので、「経理担当者のための消費税個別対応方式適用ガイド」(あいわ税理士法人)で「実践Q&A」で記載されていた項目の中から参考になりそうな事項をまとめておきます。

(1)用途区分は勘定科目ごと又は部門ごとに判断してもよいか

この点については、「会社の業績・経営方針・収入の内容などを基準に個々の課税仕入れ等について判断すべき」なので「勘定科目と消費税の用途区分を結びつけることは基本的にできません」とされています。

ただし、「製造原価、売上原価、販売費に属する勘定科目で、売上との対応関係が明確であるものについては、勘定科目で用途区分を判断しても問題ないものと考えられます」とされています。

(2)課税製品のみの製造業を営んでいる場合、原価に計上した課税仕入れ等は売上との対応関係があるため、すべて「課税売上にのみようするもの」として処理して問題ないか

この点については、「製造業を営む会社において、課税製品のみの製造や販売を行っている会社であれば、売上原価に含まれる課税仕入れ等及び製造原価に含まれる課税仕入れ等は、基本的に「課税売上にのみようするもの」に区分して問題ないものとかんがえられます」とされています。

ただし、このような場合であっても、全社員で実行される社員旅行費用のうち、原価部門に所属する人員に係るものを「原価」として計上しているようなケースには注意が必要とのことです。

なぜなら、「個別対応方式」を適用する場合には、個々の課税仕入れ等について、用途区分を決定する必要があるため、全社員で実行される社員旅行費用は一時的に「課税売上と非課税売上に共通して要するものに区分され、以下の条件を満たして初めて「課税売上にのみ要するもの」に区分されることになるためです。

その基準とは、以下の2点です。

①合理的な基準により按分が可能である

②按分後に原価に計上されたものについて原価性があると判断される

最近では全社をあげての社員旅行が行われるケースは少ないような気もしますが、忘年会等も同様だと思いますので記憶にとどめておいた方がよいのではないかと思います。

(3)一般管理費に計上した課税仕入れ等は、すべて「課税売上と非課税売上に共通して要するもの」に区分しなければならないか

この点については、一般管理費は、売上との対応関係がないものが多く、またこれらのものは、受取利息などの非課税売上げに多少なりとも関係あると考えられるため、「課税売上げと非課税売上げにのみ要するおの」に区分されるものが多いと考えられるとされています。

ただ、実際問題として、販売費及び一般管理費に計上される科目について、経理担当者は販売費なのか一般管理費なのかはあまり意識していないこともあるので、販売費と一般管理費の区分を明確に意識させるというようなことが必要になるのではないかと思います。

(4)子会社が親会社に管理系の業務をすべて委託して、管理手数料を支払っている場合の管理手数料の用途区分はどうなるか

この点については、「国内における課税売上がない場合の仕入税額控除」という国税庁の応答事例が紹介されていました。
以下、少し長くなりますが、国税庁のHPから上記の質疑応答事例を転載しておきます。

【照会要旨】
A社は、国外における資産の貸付けだけを行うために設立された会社ですが、A社に従業員はおらず、会社の設立、国外における資産の貸付けの実行、その他A社に係る業務の一切をA社の親会社が代行しています。このため、A社は親会社に業務代行手数料を支払っていますが、A社は、資本金を預金していることから、毎期受取利息があります。
このことから、A社の国内での収入は、当該受取利息だけであり、課税売上割合はゼロとなります。
この場合、A社が親会社に支払った業務代行手数料に対する仕入控除税額の計算は、次のいずれによるべきでしょうか。

(1) A社は、国外における資産の貸付けを行うために設立された会社であり、その会社の業務の全てを委託したことにより支払われる対価は、この国外における資産の貸付けのために要する費用であることから、課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当し、個別対応方式を採ることにより全額控除できます。

(2) 親会社への委託内容は、国外における資産の貸付けの業務のほかに会社自体の管理業務も含まれているので、支払われる対価は、課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れには該当しません。
したがって、国外における資産の貸付けの業務に係るものだけが課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当するものであるが、この部分の金額が区分されていない場合は、課税・非課税共通用の課税仕入れとなり、結果として課税売上割合がゼロとなることから、控除できる税額はないことになります。

【回答要旨】

照会の(1)によることとなります。

(理由)

1 個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合において、課税仕入れが課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当するのは、販売商品の仕入れのように、その課税仕入れが直接課税資産の譲渡等に供されるものに限定されません。例えば、課税売上げのみを行っている会社の自社ビルの建設のための土地造成費、商品券の印刷費は、いずれも課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当することとされています。

したがって、本件のように、資産の貸付けを国外において行うために設立された会社の業務の全てを委託した場合において、当該委託した業務から生ずる収入は、すべて課税資産の譲渡等の対価に該当することから、当該業務代行手数料は、消費税法第30条第2項第1号に規定する「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」に該当します。

2 本件のように、業務の委託の対象となる会社の収入に預金利息があるとしても、その預金に関する業務を特に委託している事実がない場合には、利息収入があることをもって、業務代行手数料が課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れに該当することにはなりません。

3 したがって、当該代行手数料は、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」に該当します。

上記質疑応答事例から、『親会社に管理業務をすべて委託しているが、預金に関する業務を特に委託している事実がない場合には、親会社に関する管理手数料を「課税売上にのみ要するもの」に区分することも認められるのではないか」とされています。

ただし、上記の質疑応答事例は従業員が存在しないことを前提とするもので、管理部門がなくても、子会社に役員や従業員が存在し、業務の実態がある場合には「課税売上と非課税売上げに共通して要するもの」に区分される余地もあるので注意が必要とされていました。

この点については、子会社に管理部門がなくてもプロパーの従業員がいる場合には、やはり「課税売上と非課税売上げに共通して要するもの」に区分するのが無難ではないかと考えます。

なぜなら、仮に子会社が単独で管理部門を抱えていたとしたら、受取利息が存在することによって課税売上割合が99.9%であっても、すべてを「課税売上げのみに対応するもの」とすることが認められないにもかかわらず、親会社が管理を行えば親会社に対する管理手数料全額を「課税売上げのみに対応するもの」とできるというのはおかしいと考えられるためです。

この他、子会社から経営指導料を収受しているホールディングカンパニーにおける経費の用途区分や任意組合等から生ずる帰属損益の取り込み等についても述べられていましたが、ここでは割愛します。

日々成長。

 

関連記事

  1. 経営財務が選ぶ2014年の5大ニュースとは?

  2. 外貨建前払費用の期末換算は必要?

  3. 過年度遡及修正と内部統制報告制度の関係

  4. 税理士試験受験申込者数減少傾向が止まりません

  5. 平成30年度税制改正を確認-法人税(その2)

  6. 偽造印紙が発見されたそうです




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,834,298 アクセス
ページ上部へ戻る