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海外出向者に関わる税務(その3)

税務通信3255号を参考に海外に出向する社員に関わる税務について確認する最終回です。

6.出向前の年末調整における所得控除額は?

”1.年末調整について”で出向前の最後の給与等の支払時に年末調整を行わなければならない点については述べましたが、その際の配偶者控除等の額はどうなるのかです。

結論としては、居住者として取り扱われる期間にかかわらず、配偶者控除や扶養控除の金額は通常の年末調整と同じ金額を控除することができます。

なお、配偶者控除や扶養控除の対象となるか否かの判定については、出国の時点で行うこととなります。この点について、所得税法基本通達85-1(年の中途において死亡した者等の親族等が扶養親族等に該当するかどうかの判定)では以下のように述べられています。

年の中途において死亡し又は出国をした居住者の配偶者その他の親族(法第2条第1項第34号((定義))に規定する児童及び老人を含む。以下この項において「親族等」という。)がその居住者の控除対象配偶者若しくは法第83条の2第1項に規定する生計を一にする配偶者(控除対象配偶者を除く。以下この項において「配偶者」という。)又は扶養親族に該当するかどうかの判定に当たっては、次によるものとする。

(1) 当該親族等がその居住者と生計を一にしていたかどうか、及び親族関係(同号に規定する児童及び老人にあっては、同号に規定する関係)にあったかどうかは、その死亡又は出国の時(その年1月1日から当該時までに死亡した親族等については、当該親族等の死亡の時)の現況により判定する。

(2) 当該親族等が控除対象配偶者若しくは配偶者又は扶養親族に該当するかどうかは、その死亡又は出国の時の現況により見積もったその年1月1日から12月31日までの当該親族等の合計所得金額により判定する。

前述のとおり、要は出国時点の現況で、控除対象となるか否かを判断してよいということです。

したがって、裏を返すと配偶者が12月までに出産予定の状態で出国した場合であっても、出国時点では生まれていないため年内に子供が生まれても扶養控除の対象となることはないということになります。

次に社会保険料控除ですが、社会保険料控除の対象となるのは1月1日から出国の時までに支払ったものです。社会保険料控除の条文などきちんと読んだことはありませんでしたが、所得税法74条1項では社会保険料控除について以下のように定められています。

居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合又は給与から控除される場合には、その支払つた金額又はその控除される金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。

すっと読み飛ばしてしまいそうですが、「居住者が」となっていますので、社会保険料控除を受けるためには「居住者」として社会保険料を支払っていることが必要となります。

これは単身赴任で海外に出向し、大学生の子供の国民年金を支払っているような場合に関係してきます。つまり、出国後は「非居住者」となるため、子どもの国民年金を支払うことになっていたとしても年末までに支払うであろう金額を社会保険料控除に含めることはできないということになります。

また、生命保険料控除も「居住者」が要件となっているため同様の考え方になります。

7.住宅借入金等特別控除はどうなる?

次に住宅ローン控除はどうなるのかについて確認しておきます。

結論としては、出国した年度の住宅ローン控除を受けることはできないものの、届出を行うことによって帰国後に再び居住の用に供すれば残年数について住宅ローン控除を受けることができるようになっています。

出国年度に住宅ローン控除を利用できないのは、租税特別措置法41条において控除の要件が「居住日以後その年の12月31日まで引き続きその居住の用に供している年に限る」とされていることにより要件を満たさないためです。

次に届出ですが、住宅ローン控除の適用を受けていた住居を居住の用に供しなくなる日(出国の日)までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を居住地の所轄税務署長に提出する必要があります。また、帰国後再び居住の用に供し、住宅ローン控除を受ける場合には帰国後の最初の年に「再居住に関する証明書類」を添付して確定申告を行う必要があります。

なお、この手続きについては転勤先が国外である場合に限らないため、国内での転勤により一時的に転居が必要となった場合にも利用可能なので覚えておいた方がよさそうです。

8.住居を賃貸しようとする場合

持ち家の場合に家族全員で海外転勤することになると、一般的には住宅ローンを支払うために住居を賃貸に出すケースが考えられます。このような場合の税金はどうなるのかです。

海外に転勤することになった個人が自宅を貸し出して賃料を得た場合は、家賃収入について不動産所得として確定申告をする必要ががあります。

そして、確定申告する必要があるといっても本人は海外に在住しているため確定申告や納税の事務処理を行うのが困難です。そのため、個人である納税者が、国内に住所を有しなくなる場合に、納税申告書の提出をはじめとした国税に関する事務を処理する必要があるときは、国税通則法第117条によって、国税に関する事務を処理させるための納税管理人を定め、居住地の所轄税務署に届出を行う必要があるとされています。

なお、会社が海外に転勤する社員の住居を借り上げる場合には、会社が社員に対して支払う賃料は非居住者に対する国内源泉所得(不動産貸付の対価)に該当し、源泉徴収を行わなければならないという点には注意が必要です。

以上、海外出向者に関する税務のまとめでした。

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