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市場販売目的ソフトか自社利用目的ソフトの判断基準を「複写」に求めると・・・

「ソフトウェア取引の会計・財務Q&A 第2版」(有限責任監査法人トーマツ編)のQ4-17「クラウドサービスの提供者におけるソフトウェアの分類」では、ASP、SaaSのサービス提供に用いられるソフトウェアの分類について「複写」というキーワードに着目して市場販売目的か自社利用かを分類するという見解が示されていました。

上記では、ASPやSaaSのサービス提供で用いられるソフトウェアについて、「市場販売目的のソフトウェアと自社利用のソフトウェアのどちらに分類するかについては、判断難しいところです」としつつ、「ASPやSaaSは通常、サービス提供者と利用者がソフトウェアの使用許諾契約を締結し、サービス利用期間にわたり定額課金もしくは従量課金がなされます。この取引形態は、研究開発費等会計基準四3における自社利用ソフトウェアの説明の「ソフトウェアを用いて外部業務処理等のサービスを提供する契約等が締結する場合」に該当するとして、ソフトウェアは自社利用ソフトウェアに分類することができるとの見解が示されています。

また、「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書三3(3)②における市場販売目的ソフトウェアの「ソフトウェアを市場で販売する場合には、製品マスター(複写可能な完成品)を制作し、これを複写したものを販売することになる」の規定において「複写」をキーワードと考えると、ASPやSaaSに係るソフトウェアは、市場販売目的のソフトウェアには該当しないと考えることができる」という見解が示されています。

興味深い見解ですが、従来パッケージで販売していたアプリケーションなどをASPやSaaSとして提供した場合について考えてみると、すべての利用者が同一のサーバーにインストールされた一つのソフトウェアを利用しているわけではなく、利用者毎に環境をセットアップしているのではないかと思います。

そういった意味では、ASPであろうがSaaSであろうが、複写可能な完成品を複製して使用しているという状況は同じであるケースは多いのではないかと思います。

また、「ASPやSaaSは通常、サービス提供者と利用者がソフトウェアの使用許諾契約を締結」するのであれば、パッケージソフト(市場販売目的ソフト)についても、通常、売手は買手にソフトの使用許諾権を与えているだけですので実態としては同様ということになります。

ただし、パッケージソフトの場合、保守サービス等に加入しなくても環境等で問題が生じなければ継続して使用することが可能であるものがある一方で、ASPやSaaSで提供されているサービスは利用料金を支払わないとサービスが停止されてしまうという違いは考えられます。
もっとも、最近では、保守サービス等に加入しないと一定期間経過後はソフトウェアが起動しなくなるパッケージソフトなどもあるようですので、ますます両者の区別は曖昧になっているように感じます。

上記のように「ソフトウェアを用いて外部業務処理等のサービスを提供する契約等が締結する場合」という文言からASP等で使用するソフトウェアを自社利用ソフトウェアに分類するという見解が根強いことは理解していますが、「ソフトウェアを用いて外部業務処理等のサービスを提供する契約」に該当するのは、大量の給与計算を行うために開発したソフトウェアを使用して給与計算業務を受託する契約などを想定していると考えるのが素直な解釈なのではないかと感じます。

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