閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

事業報告に親会社等との取引に関する事項の記載はすべての会社で必要か?

平成26年会社法改正によって、事業報告に会社とその親会社等との間の取引について、一定の事項を記載することが求められるようになっていますが、これを記載しなければならないのは大会社だけなのかすべての会社なのかがいまいちはっきりしなかったので確認することにしました。

親会社等との間の取引に関する事項の記載が求められることとなった趣旨

はじめに、平成26年会社法改正によって、上記の記載が求められることとなった趣旨を確認しておくと、子会社の少数株主保護です。会社法制部会の中では、「当該取引により、当該取引がなかったと仮定した場合と比較して当該株式会社が不利益を受けた場合には、当該親会社は、当該株式会社に対して、当該不利益に相当する額を支払う義務を負うものとする」というような制度の導入も検討されましたが、一方で「親子会社間の取引に萎縮効果を及ぼし企業集団による経営を不当に妨げるおそれがあること、グループ経営により子会社が得る利益は算定が困難なことが多く、利益・不利益という観点から法定責任を創設すると合理的なグループ経営まで規制されてしまうおそれがあること等を理由とする反対意見も強く、結局、コンセンサスが得られませんでした。」(「一問一答 平成26年改正会社法」Q148 商事法務)

最終的には、親子会社間の利益相反取引を事業報告で開示し、株主への情報提供の充実を図るという点では異論がなかったことから、事業報告で一定事項の開示が求められるということで落ち着つきました。

事業報告で開示が求められる事項

事業報告で開示が求められるのは以下の事項です(会社法施行規則118条1項5号)。

  1. 当該取引をするに当たり当該株式会社の利益を害さないように留意した事項(当該事項がない場合にあっては、その旨)
  2. 当該取引が当該株式会社の利益を害さないかどうかについての当該株式会社の取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会。3.において同じ。)の判断及びその理由
  3. 社外取締役を置く株式会社において、2.の取締役の判断が社外取締役の意見と異なる場合には、その意見
開示が求められる会社

ここからがある意味本題ですが、会社法施行規則118条1項では、「事業報告は、次に掲げる事項をその内容としなければならない。」として5項目をあげており、その一つが親会社等との間の取引に関する事項となっています。

そのため、会社法施行規則118条1項で掲げられている5項目はすべての会社に供するする事業報告の記載事項として「共通的記載事項」と説明されていることがあります。そうだとすると、親会社等との間の取引に関する事項もすべての会社で記載が必要ということになりますが、会社法施行規則118条1項5号では以下のように規定されています。

当該株式会社とその親会社等との間の取引(当該株式会社と第三者との間の取引で当該株式会社とその親会社等との間の利益が相反するものを含む。)であって、当該株式会社の当該事業年度に係る個別注記表において会社計算規則第百十二条第一項 に規定する注記を要するもの(同項 ただし書の規定により同項第四号 から第六号 まで及び第八号 に掲げる事項を省略するものを除く。)があるときは、当該取引に係る次に掲げる事項

上記の条文では、個別注記表に会社計算規則第百十二条第一項の注記(関連当事者取引の注記)を要するものがある場合には、記載が必要となっています。一方で、関連当事者取引の注記は会計監査人設置会社以外の公開会社以外の会社では注記を省略することが認められています。

関連当事者取引の注記の記載が不要とされている根拠条文(計算書類規則第98条2項)を確認すると「次の各号に掲げる注記表には、当該各号に定める項目を表示することを要しない。」として「会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く。)の個別注記表」と規定されています。

条文上「要しない」と表現されているので、会計監査人設置会社以外の公開会社以外の会社では、会社法施行規則118条1項5号でいうところの「当該事業年度に係る個別注記表において会社計算規則第百十二条第一項 に規定する注記を要するもの」には該当しないと考えられます。

結局のところ、会計監査人設置会社であるか、会計監査人設置会社でなくても公開会社である場合には事業報告に親会社等との間の取引に関する事項の記載が必要となるということになります。

関連記事

  1. たまに脚光を浴びる「優先株」-オリンパスの騒動で登場

  2. 書面による議決権行使の期限と株主総会招集通知の発送期限

  3. 元子会社の粉飾で親会社が損害賠償責任を負うこととされた事例

  4. エフオーアイの粉飾決算で主幹事証券に賠償責任が認められた判決ー東…

  5. 改正会社法(その5)-監査等委員会設置会社詳細(その4)

  6. 長期のインセンティブが弱いRS等に多くの反対票




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,850,189 アクセス
ページ上部へ戻る