閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

平成28年3月期の株主総会で譲渡制限付株式に係る議案を付議した事例

今回は平成28年3月期の株主総会で譲渡制限付株式に係る議案を付議した会社の事例を取り上げます。

6月に開催される株主総会に譲渡制限付株式の議案を付議した会社を探してみると、以下の3社の事例が発見できました。
①横河電機
②フォーバル
③市光工業

1.横河電機(平成28年6月23日株主総会)

横河電機の招集通知では「第5号議案 譲渡制限付株式報酬制度の報酬額設定その他取締役の報酬改定の件」が設けられていました。

同社では従来1事業年度12億円以内(うち、社外取締役分は5千万円以内)という枠で総会の承認を受けていたものを、1事業年度10億円以内に2億円減額する一方で、新たに譲渡制限付株式制度に係る取締役の報酬額を1事業年度6億円以内で設定するとしています。

ただし、譲渡制限付株式制度の報酬は中期経営計画のの対象期間である3事業年度の初年度に3事業年度にわたる職務執行の対価に相当する額を支給するとしています。これにより、実質的には1事業年度2億円なので、報酬枠総額としては12億円以内で従前と変化しないとしています。

また、ガバナンス強化を目的として、社外取締役の報酬を1事業年度5千万円以内から1億円以内に増額することも合わせて付議しています。

具体的な内容としては、「譲渡制限期間内に所定の業績を達成した場合には、その達成度合いに応じて本割り当て株式の譲渡制限が解除され、譲渡制限が解除されなかった本割り当て株式は無償で会社に返還(譲渡)するものといたします」とされていますのでパフォーマンス・シェアということになります。

譲渡制限期間については、取締役会において1年間から5年間の間であらかじめ定める期間としています。上記の通りこの期間内に所定の業績を達成しなければならないわけですが、業績達成度については「当社の連結自己資本利益率(ROE)の達成度その他対象となる中期経営計画ごとに当社の取締役会においてあらかじめ設定した業績達成度」と説明されていますが、具体的な基準値は示されていません。

業と制限期間及び業績達成条件については、報酬諮問委員会の審議を経たうえでその意見を尊重して、取締役会において決定するとされています。

ところで、実際に役員報酬の金額はどのくらいなのかと招集通知を確認してみると、取締役の報酬合計は2億8,200万円で、このうち社外取締役の報酬は3,300万円でした。このレベルであれば、12億円でも10億円でも実際問題としてはあまり大きな影響はないように思います。

今回のテーマとは直接関係ありませんが、社外取締役の支給人員が4名に対して報酬総額が3,300万円、社外監査役の支給人員が3名に対して報酬総額が3,200万円と、横河電機クラスになると社外役員の報酬も相当高額であるという点に感心してしまいました。

2.フォーバル(平成28年6月24日株主総会)

フォーバルの招集通知では「第2号議案 取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く。)に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬決定の件」が付議されています。

こちらは、年額4億円以内で承認を受けている取締役の報酬枠とは別枠で年額1億円以内の譲渡制限付株式付与のための報酬枠を設定することを付議する内容となっています。

同社の譲渡制限期間は「10年間から20年間までの間で当社の取締役会があらかじめ定めた期間」とされています。横河電機の1年間から5年間と比較すると、かなり長い期間となっています。

なぜこのような期間となっているのかですが、同社の場合は業績達成条件が設定されておらず、リテンションを目的としたものだからではないかと推測されます。

とはいえ、株主の立場からすれば、むしろ辞めて貰いたいこともあると思いますので、退任した場合はどうなるのかですが、この点について「対象取締役が譲渡制限期間が満了する前に当社のまたは当社の子会社の取締役、執行役員または使用人を退任した場合には、その退任につき、任期満了、死亡またはその他当社の取締役会が正当と認める理由がある場合を除き、当社は本割当株式を当然に無償で取得する。」とされています。

何が正当な理由にあたるのかは内規等で定めておかないと争いの種になりそうな気がします。

なお、譲渡制限期間満了前に正当な理由で退任する場合はどうなるのかですが、「譲渡制限期間が満了する前に上記の地位を退任した場合には、譲渡制限を解除する本割当株式の数及び譲渡制限を解除する時期を、必要に応じて合理的に調整する」とされています。

3.市光工業(平成28年6月29日株主総会)

市光工業の招集通知では「第5号議案 取締役に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬決定の件」が付議されています。

市光工業では年額3億6000万円以内(うち社外取締役6000万円以内)で承認を受けている報酬枠とは別枠で譲渡制限付株式の付与のため年額7600万円の報酬枠設定するとしています。市光工業では社外取締役についても「うち社外取締役1百万円以内」と社外取締役分も含んでいるという点が他の2社と異なります。

譲渡制限期間は横河電機と同様「1年間から5年間までの間で当社の取締役会が定める期間」としていますが、業績達成条件が付されていないのはフォーバルと同様です。

従来の報酬枠は変更せずに、支給する役員報酬の額を引き下げて譲渡制限付株式を導入するのか、単に譲渡制限付株式を導入するのかは明らかではありませんので、これは次年度の事業報告で確認してみようと思います。

関連記事

  1. 会社法改正により上場会社等は社外取締役選任が義務化されるようです…

  2. 有価証券報告書の提出を延期した場合の株主総会はどうする?

  3. 三菱UFJフィナンシャル・グループが会社法監査報告にKAMを記載…

  4. 株式の無償発行を会社法上可能とする方向で検討

  5. 監査役へのストックオプション付与の可否

  6. パリ協定目標に沿った投資のための経営戦略を記載した計画開示の株主…




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,839,346 アクセス
ページ上部へ戻る