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着替えの時間は労働時間として取り扱われるか?

さらに、「内規(労働契約、就業規則、労働協約等の定め)により作業服、安全保護具等の装着が義務づけられ、事実上拘束された状態で従事する着用等の場合は、『労働契約上の基本的義務である労働提供義務と不可分一体のもの」としてこれを労働時間に含む。」とされています。

考え方の大原則としては、労働者が使用者の指揮命令下にあると評価されるかどうかであるので、「事実上拘束された状態で」の作業服等の着用は労働時間に含むとされています。

労働者が一斉に作業服や安全保護具等の装着を指示されて行動するような場合は、「事実上拘束された状態」といえると思います。一方で所定の制服等に着替えるという行為を使用者は監督もしていないし、労働者も使用者の指揮命令下にあるとは感じていないケースもあると考えられますが、上記の判例では事業所内で行われる準備行為は基本的に使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるとされており、個人的には言い過ぎに感じます。

実際、日野自動車事件の最高裁判例(昭59.10.18)では以下のように述べられています。

一般に労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮・命令の下に拘束されている時間をいうものと解されている。ところで、労働者が現実に労働力を提供する始業時刻の前段階である入門後職場到着までの歩行に要する時間や作業服、作業靴への着替え・履替えの所要時間をも労働時間に含めるべきか否は、就業規則や職場慣行等によってこれを決するのが相当であると考えられる。ただし、入門後職場までの歩行や着替え・履替えはそれが作業開始に不可欠のものであるとしても、労働力提供のための準備行為であって、労働力の提供そのものではないのみならず、特段の事情がない限り使用者の直接の支配下においてなされるわけではないから、これを一律に労働時間に含めることは使用者に不当の犠牲を強いることになって相当とはいい難く、結局これをも労働時間に含まれるか否かは、就業規則にその定めがあればこれに従い、その定めがない場合には職場慣行によってこれを決するのが最も妥当であると考えられるからである。」

この判例では、着替えが作業開始に不可欠であるとしても、それ自体は労働の提供ではないし、使用者の直接の支配下にあるわけではないので、労働時間に含めるか否かは職場の慣行に従うのが妥当とされています。

ただし、この判例では「職場における従業員の安全確保のためにとった使用者の便宜的措置であることを考盧すれば、右は労働時間に含まないと解するのが相当である。」と、労働者にとっても安全確保というメリットがあったという点も考慮されているという部分には注意しておくべきだと思います。

より新しい判例に従っておくとすれば、着替え時間も労働時間として取扱うのが無難ということになりますが、とことん争った場合の結論がどうなるのかは定かではありません。もっとも、労働力不足が深刻になってくると、些細な部分で労働者ともめて評判を落とすのは得策ではないので、労働者に有利な取扱いが一般的になっていくのではないかと推測されます。

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