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「高額特定資産」とはなんですか?(その1)-平成22年改正から確認

調整固定対象資産を取得した場合の取扱いについては、国税庁のタックスアンサーの記載を引用すると以下のようになります。

課税事業者が調整対象固定資産の課税仕入れ等に係る消費税額について比例配分法により計算した場合で、その計算に用いた課税売上割合が、その取得した日の属する課税期間(以下「仕入課税期間」といいます。)以後3年間の通算課税売上割合と比較して著しく増加したとき又は著しく減少したときは、第3年度の課税期間において仕入控除税額の調整を行います。

要は、一定の固定資産を取得して仕入税額控除により還付を受けても、課税売上割合がその後の年度で下がった場合には、3年目に取り戻されるということになります。もっとも、この規定は、課税売上割合が低下した場合を想定して規定されたものではありますが、課税売上割合が増加した場合には3年目に追加で仕入税額控除が認められるものであり、そういった意味ではフェアな仕組みといえます。

なお、調整が必要となるのは「比例配分法」によっていることが要件とされていることから、一括比例配分方式のみが対象と考えてしまいそうですが、「個別対応方式において課税資産の譲渡等とその他の資産に共通して要するものについて、課税売上割合を乗じて仕入控除税額を計算する方法」もここでいう比例配分法に含まれるという点も注意が必要です。
また、課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上であるためその課税期間の課税仕入れ等の税額の全額が控除される場合も含まれます。

そして、「著しく増加」とは以下の二つの要件に該当した場合を意味するとされています。

adjustcal

なお、「著しく減少」の場合は同様の算式で計算する場合には計算される絶対値がそれぞれ50%、5%以上となる場合となります。

例えば、X1年度の仮払消費税が建物の取得等により800万円、各年度の売上の推移が以下のように推移したとします。

example1

上記の場合、固定資産を取得した期の課税売上割合90%に対して通算課税売上割合は12.58%なので、上記の判定式の一つ目の割合は(90%-12.58%)/90%=86.02%≧50%と条件を満たします。

二つ目の条件も90%-12.58%≧5%と満たします。よって、調整が必要となります。調整すべき金額は、通算課税売上割合で再計算した金額と仕入時に実際に控除した税額との差額となります

よって800万円×(90%-12.58%)=619.36万円が第3年度に調整を要する額となり、この金額を納税する必要があります。したがって、初年度に課税売上割合を高くして消費税の還付を受けたとしても、第3年度に消費税を納税しなければならないので恣意的な操作を抑止する効果が期待されるというわけです。

そしてこの調整を有効なものとするため、平成22年度税制改正によって、調整対象固定資産を取得した場合、調整対象固定資産の仕入等の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ課税事業者選択不適用届及び簡易課税制度選択届出書を提出することができないとされました。

普通の1年決算を前提とすれば、通常であれば2年縛りのところ、調整対象固定資産の取得年度から3年間は課税事業者でありつづけなければならないうえ、簡易課税制度も選択できないということになります。

ここで注意しておかなければならないのは、課税事業者選択不適用届又は簡易課税制度選択届けを提出した後に調整対象固定資産を取得してしまった場合です。この場合、これらの届出は無効となるとされています。無効となるわけですので、調整期間経過後に免税事業者又は簡易課税制度を選択しようとする場合は再度届出が必要となるということです

調整期間中は一度提出した届出書の効力が制限されると思っていると、気づいたときには提出期限を経過しており手遅れという事態も考えられますし、より悲惨な状況としては課税事業者選択不適用届又は簡易課税制度選択届が有効に受理されていると思い込んでしまい税務調査で間違いが発覚するというケースです。

しかも、調整対象固定資産の範囲には、固定資産に準ずる資産として、預託金方式のゴルフ会員権や課税資産を賃借するために支出する権利金等あるいは著作権等の資産も含まれる(消基通12-2-1)ので、これらの資産が調整対象固定資産に該当することを失念したことにより処理を誤ってしまうというような可能性もあります。

意図しないところで様々な制約にひっかかることがないように注意しましょう。

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