閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

UKCホールディングスが連結子会社の会計処理誤りの影響を公表

東証一部上場の株式会社UKCホールディングスが本日「当社連結子会社における会計処理に係る影響額に関するお知らせ」という適時開示を行いました。

同社は半導体などの電子部品を取り扱うエレクトロニクス商社で、ソニー製半導体などを多く取り扱っており、2017年5月10日に「連結子会社である UKC ELECTRONICS (H.K.) CO., LTD.(以下、UKC香港という)における前渡金等の資産の評価について精査が必要となることが判明」したとして、同日に予定されていた決算短信の公表を延期する旨を公表していました。

その後、5月30日に「特定取引先に対する前渡金の調査を進める過程で、一部の前渡金に関連した売掛金回収に対する疑義が高まったこと」などを理由に第三者委員会の設置および決算発表の再延期を公表しました。

さらに、6月13日に定時株主総会開催の延期、6月29日に有価証券報告書の提出期限延長を公表し、本日冒頭の適時開示に至っています。

5月10日の開示書類では、影響額等について以下のように記載されています。

当該前渡金の性質は、UKC香港が顧客に部材を納入するにあたって、UKC香港と顧客の間に入った形で、特定取引先が部材を調達し、UKC香港がそれを仕入れ、顧客に販売する形態の中で、UKC香港が特定取引先に前もって部材購入代金を渡すものであり、特別に珍しいスキームではございません。顧客の製品の販売が停滞する中で、UKC香港が前渡金を渡すタイミングと特定取引先が部材を調達するタイミングにずれが生じたことにより、平成 29年3月には前渡金全体として 40 億円程度となっており、その一部に回収可能性の懸念がございます。前渡金以外の資産については、現段階では見積もりが困難ですが、顧客の営業状況を鑑み、売掛金等で 20~40 億円程度の回収可能性の懸念がございます

この開示では、特段めずらしいスキームではない取引の前渡金40億円の一部に回収不能のおそれがあり、このほか売掛金20~40億円について回収不能の恐れがあるとされています。

しかしながら、本日開示された資料によると、影響額は全体として約190億円という桁違いの結果となっており、内訳は以下のとおりとされています。

①平成 29 年5月 10 日付「平成 29 年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」にて挙げました特定取引先への前渡金に係る回収可能性の懸念 約40億円

②平成 29 年5月 10 日付「平成 29 年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」にて挙げました売掛金等(20~40 億円程度)の回収可能性の懸念 約20億円

③ Quatius Limited の1億ドルの転換社債について、相殺対象となった売掛金の回収可能性に懸念があり、さらには当該転換社債に付されている物上担保(約 65 億円)の権利行使の実効性にも疑義が生じていることに伴う当該転換社債の引受処理に係る損失計上の懸念  約100億円

④ UKC香港における、上記 1)と類似した取引に係る前渡金、売掛金の回収可能性の懸念 約30億円

直近の富士ゼロックスの例からも、調査の結果、当初の見込み額よりも損失が拡大するというのはありえることではあり、全体的な影響額は富士ゼロックスよりも小さいものの、会社の規模を勘案した場合のインパクトはUKCホールディングスのほうがはるかに大きいと思われます。

2016年3月期の有価証券報告書で、直近5年間の親会社に帰属する当期純利益の合計額を計算すると約194億円となっていますので、同社に与える上記の影響額の大きさが理解できるのではないかと思います。連結純資産は2016年3月末で577億円となっていますので、税効果を勘案しないとすると連結純資産の約1/3とやはり影響額は甚大です。

5月10日のリリースでは一部が回収不能とされていた前渡金40億円については、本日のリリースではほぼ満額が回収不能と判断されており、それはないだろうという株主も多いのではないかと思います。

監査報酬はどうなのかと確認してみると、2016年3月期の監査報酬は提出会社51百万円、連結子会社3百万となっていますが、「当社及び当社の連結子会社であるUKC ELECTRONICS(S)PTE,LTD. 他連結子会社3社は、当社の監査公認会計士等と同一のネットワークに属しているKPMGグループ各法人に対し、当連結会計年度に係る監査証明業務に基づく報酬として計46百万円を、非監査業務に基づく報酬として計17百万円をそれぞれ支払っております。」となっています。

UKCホールディングの場合、目につくのは非監査業務の報酬が結構大きいという点です。2016年3月期は提出会社の監査報酬51百万円に対して、非監査報酬が37百万円(経営統合に関するアドバイザリー業務等)、2015年3月期は提出会社の監査報酬31百万円に対して非監査業務の報酬は13百万円(組織再編に係るアドバイザリー業務等)となっています。さらに遡ってみると2014年3月期は提出会社の監査報酬31百万円に対して非監査業務の報酬は29百万円(M&Aに係るアドバイザリー費用等)となっています。海外のKPMGグループの非監査報酬は2016年3月期は上記の通り17百万円、2015年3月期は9百万円、2014年3月期は17百万円となっています。

国内海外ともに法的にはなんら問題ない業務なのだと思われますが、非監査業務の報酬割合が大きくこのような問題が発覚するとエンロンがちらつくのは私だけではないと思われます。

関連記事

  1. 2019年12月期有価証券報告書提出延長申請は3社

  2. 非財務情報で初の虚偽認定-日本フォームサービス

  3. MTGが中国の新EC法の影響により大幅に下方修正

  4. 一般事業会社が貸手として貸出コミットメント契約を締結していた場合…

  5. 証券取引委員会の課徴金事例集-不正事例は読んでおくとよいのでは?…

  6. 18年3月期は定額法から定率法に減価償却方法を変更した会社が1社…




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,850,627 アクセス
ページ上部へ戻る