閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

企業が従業員に支給するコロナ対応の見舞金は非課税の可能性

緊急事態宣言が解除され、徐々に落ち着きを見せ始めているように見えますが、緊急事態宣言中も営業を継続した薬局やスーパーの中には、新型コロナウイルスに感染するリスクの中で勤務を続ける従業員の心理的な負担等をねぎらうという趣旨で特別の手当を支給したという企業もあります。

名称は「特別手当」であったり「緊急特別感謝金」などと報道されていますが、リスクを負って日常の生活を支えてくれている従業員の慰労のためという点は共通しているようです。

さて、このような手当の取扱いに関して、2020年5月15日に更新された「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」に「従業員に対して事業者から見舞金が支給された場合の取扱い」というQ&Aが追加されています。

Q&Aのタイトルの「見舞金」からすると、罹患した従業員等に金員等を支給した場合の取扱いについて記載されているのかと思いましたが、前述のような特別手当的な見舞金の取扱いについても述べられているものとなっています。そのQ&AのQは以下のとおりです。

私は、介護老人福祉施設を有する法人の代表者です。当社は緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業に該当することもあり、これまで休業することなく事業を継続してきました。
社会的な使命に応えるためとはいえ、緊急事態宣言中に事業を継続する中で、従業員には新型コロナウイルス感染症の感染リスクといった平常時には感じ得ない相当な不安を抱えながらも懸命に事業に従事していただきました。
そこで、当社では、社内規程である慶弔基準を改定し、「新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言下において介護サービスを実施する従業員については、5万円の見舞金を支給する。」こととし、近日、この基準に従って支給することとしました。
この見舞金は、非課税所得に該当し、給与等として源泉徴収することは不要ですか。

これに対する回答は、「ご質問の見舞金は、非課税所得に該当しますので、給与等として源泉徴収する必要はありません。」とされています。

上記から、新型コロナウイルス感染症にかかるリスクがある中で、業務に従事する従業員等に対して支給する金銭については、所得税法上、非課税所得にあたる可能性があるといえます。

ただし、あくまでこの取扱いは、従業員等が事業者から支給を受ける見舞金が、以下の三つの要件を満たす場合に、非課税所得に該当するとされているものです。

①その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること
②その見舞金の支給額が社会通念上相当であること
③その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと

質問にあるような「見舞金」は、個人的な感覚としては「特別手当」と言った方がしっくりきますが、「手当」というと「役務の対価」を連想させるため、上記の要件③からすると名称は「見舞金」としておいたほうが無難ということかもしれません。

また条件②について、常識的な金額で支給されていることが多いと思いますので、社会通念上妥当な水準であるかについては問題となることは少ないと思われますが、一方で上記Q&Aでは「その見舞金の支給額が、従業員ごとに新型コロナウイルス感染症に感染する可能性の程度や感染の事実に応じた金額となっており、そのことが事業者の慶弔規程等において明らかにされているかどうか」などを踏まえて判断するとされている点は注意が必要です。Q&Aではの例では慶弔基準を改定した前提となっていますが、個人的には「新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言下において介護サービスを実施する従業員については、5万円の見舞金を支給する。」というような、限定的な状況を前提とした規程の改訂は考えにくいので、取締役会の議事録に残しておくとか、代表者名の社内向けの通知などで代替できないと不便だなと感じます。

条件①については、新型コロナウイルス感染症に感染したために支払いを受ける場合は当然含まれますが、このほか「緊急事態宣言の下において、事業の継続を求められる事業者の従業員等で次のいずれにも該当する者が支払を受けるもの」として以下の二つの要件が示されています。

その前にそもそも「事業の継続を求められる事業者」とは何かですが、この点については、「新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)を参考にしてください」とされています。この方針によれば、医療関係者、生活支援関係事業者、生活必需物資供給関係者、飲食料品供給関係者などが「事業の継続を求められる事業者」に該当するとされています。

その上で以下の要件を満たす必要があるとされています。
・多数の者と接触を余儀なくされる業務など新型コロナウイルス感染症の感染リスクの高い業務に従事している者
・緊急事態宣言がされる前と比較して、相当程度心身に負担がかかっていると認められるもの

二つ目の要件については、一つ目の要件を満たせば満たしていることが多いと考えられますので、「事業の継続を求められる事業者」で実質的に一つ目の要件を満たせば条件①は満たすと考えてよさそうです。

以上から、薬局やスーパーで特別手当を支給したというようなケースでは、規程化をどう捉えるかという点が問題となるものの、上記で言うところの見舞金として非課税として取り扱われる可能性はあると考えられます。一方で、「事業の継続を求められる事業者」に該当しない事業者においても、出社しなければならない従業員に対して手当を支給したということもあったと思われますが、この場合は、そもそも「事業の継続を求められる事業者」に当たらない時点で上記の取扱いの対象外ということになりますので、通常通り課税所得と取り扱われることとなると考えられます。

関連記事

  1. 税務上の「のれん」とは?(その3)

  2. 割引債-発行日から償還日までの期間によって天地の差(平成25年税…

  3. オフバランスになっている中小企業のデリバティブに要注意

  4. 平成27年度税制改正大綱(その2)-繰越欠損金控除限度の引き下げ…

  5. 2019年12月17日に上場予定のfreeeが社宅管理関連のプロ…

  6. グループ法人税(その2)-完全支配関係とは?




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,834,261 アクセス
ページ上部へ戻る