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出る杭はもっと出ろ!

コロナ関連の追加情報-重要な変更なくても、その旨を四半期報告書で開示が望ましいケースも

ASBJが2020年4月に公表した「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の考え方」により企業側に積極的に開示を求めたこともあり、2020年3月期の有価証券報告書では、約7割の会社で何らかの記載がなされたそうです。

あみやき亭のような例外的な会社を除けば、3月決算会社は1Q決算作業を行っている最中だと思いますが、再び感染拡大傾向が窺える新型コロナウイルスに関して、四半期決算でどのように対応すべきかについて、6月26日に更新された議事概要において以下の考え方が明らかとされました。

(1)前年度の財務諸表において新型コロナウイルス感染症についての追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に重要な変更を行ったときは、他の注記に含めて記載している場合を除き、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該変更の内容を記載する必要がある。

(2)前年度の財務諸表において仮定を開示していないが、四半期決算において重要性が増し新たに仮定を開示すべき状況になったときは、他の注記に含めて記載している場合を除き、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該仮定を記載する必要がある。

(3)前年度の財務諸表において新型コロナウイルス感染症についての追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に重要な変更を行っていないときも、重要な変更を行っていないことが財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断される場合は、四半期財務諸表に係る追加情報として、重要な変更を行っていない旨の記載が望ましい。

上記(3)のとおり、仮に新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に重要な変更を行っていない場合であっても、重要な変更を行っていないことが財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断される場合は重要な変更を行っていない旨の記載が望ましいとされていますので、一般的に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けていると考えられる業種や、時価総額が大きい会社で世間の注目度が高い会社では、いずれにしても何らかの開示が必要となると考えられます。

実際の記載例を確認してみると(株)WOWOWでは、前年度の有価証券報告書で以下のように記載されています。

(追加情報)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う国内外のイベントの相次ぐ延期、中止等の影響により、当社において放送、配信を予定しておりましたスポーツや音楽ライブ等が延期、中止となり、当社の加入者獲得等の業績に影響を及ぼしております。このような状況下、当社グループでは、国内外のイベント等事業活動が、2020年8月以降徐々に回復し、10月にはほぼ正常化する仮定のもとに、繰延税金資産の回収可能性及びのれんを含む固定資産の減損会計等の会計上の見積りを行っております。
しかしながら、当該感染症の影響が世界的に長期化した場合には、繰延税金資産の回収可能性及びのれんを含む固定資産の減損等についての判断に影響を及ぼし、当社グループの翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

本日から今まで無観客で実施されていたプロ野球が人数を制限して有観客で試合が行われるようになっており、2020年8月以降徐々に回復はよいとして、「10月にはほぼ正常化する仮定」をどう考えているのかについては、仮定に変更がなかったとしてもその旨が開示されるのは、投資家からすると確かに有用だと考えられます。

また、ABホテル(株)では以下の様な追加情報が記載されていました。

(追加情報)
(新型コロナウイルス感染症の影響について)
 新型コロナウイルス感染症(以下、本感染症)の影響に関しては、政府による緊急事態宣言の発令により、外出の自粛要請や各種イベントの中止・延期により当社が展開するABホテルの稼働や客室単価に相当程度の影響が出ている状況であります。本感染症は実体経済、企業の生産活動及び消費者の消費活動に大きな制限を課し、わが国経済のみならずグローバルな経済活動に影響を与える事象であり、今後の収束時期等を予想することは困難なことから当社は2021年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続すると仮定し、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。

「2021年3月期の一定期間にわたり」と「一定期間」がいつまでなのかを明確に記載していないというのは、よくわからないから明確に書きたくないという実務的な観点では、なかなかうまい記載で1Qにおいてもこの仮定自体に変更はないのではないかと思いますが、投資家からは「一定期間」はどれくらいの期間なのかという質問は当然寄せられるのではないかと思われます。

いくつか事例をみたところでは、3月決算会社の場合3Q以降に徐々に回復と見込んでいる会社が多いように思いましたが、上記の2社を含め全体的に1Qの四半期報告書でどのように仮定が変化していくのかに注目です。

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