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株式需給緩衝信託の会計処理

実際使用する機会はないような気はしつつ、そんな会計処理になるんだと感じたので、株式需給緩衝信託の会計処理について紹介します。

まず、株式需給緩衝信託とは何かですが、これは野村證券株式会社が商標登録しているスキームで、株式会社クロス・マーケティングが本年2月に設定する旨の適時開示を行っているものです。

同社は、流通株式数を増加させることを目的に、大株主に株式の売却を要請し、株価への影響を極力少ない形で市場へ売却していく手法として、野村證券の株式需給緩衝信託を選択したということのようです。株式需給緩衝信託では、会社が信託に資金を信託し、信託が株主から株式を取得し、信託が信託期間にわたり市場で徐々に売却していくというスキームになっています。

したがって、大株主から株式を自己株式で取得して、市場に徐々に出していくというのと同様ですが、自己株式の取得はともかく、自己株式の処分は新株の発行と同様ですので、市場に徐々に出していくというのは実務的には無理があります。

さて、上記のような信託を通じた株式の取得と放出がどのような会計処理になるのかですが、会社は「本信託による実施が初のスキームであることから、会計処理について協議中となっており確定しておりません」としつつも、当初(2月の開示資料)、”本信託において株価の上昇等により処分差益が生じた場合「その他資本剰余金(純資産)」の増加、株価の下落等により処分差損が生じた場合は「その他資本剰余金(純資産)」の減少として会計処理を行う予定”としていました。

その後。2022年5月16日に適時開示されている「株式需給緩衝信託における会計処理の確定に関するお知らせ」で、同信託の会計処理については以下のようになる旨が開示されました。

監査人は、金銭以外の信託として総額法による会計処理を行った上で、本信託が保有する当社株式の法的性質を考慮し、当社株式を「投資有価証券」として連結貸借対照表に計上し、本信託における当社株式の売買差額を連結損益計算書に計上する方法を採用するという見解に至っております。監査人は、本信託による実施が本邦初のケースであり、上記の会計処理が「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行」に従ったものであるかについての観点も踏まえた検討をしております。

PLで投資有価証券売却損益を認識するというのが監査法人が出した答えで、今後他の事例が出てきた場合に同様の判断がされるのかはわかりませんが、自己資金で自社株を取得させて生じた損益がPL計上となるというのがこの事案での結論となっています。

なお、会社は、本信託の実施による株式の取得及び売却について、「実務対応報告第 30 号 従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」における ESOP 信託の会計処理との整合性や、本信託が当社を受益者とする自益信託であることなどに鑑み、総額法により自己株式としての会計処理を想定していたと述べています。

この事例では、投資有価証券売却損が生じたとされています。税務上、この売却損の損金算入は認められるのかが問題となりますが、同社の開示資料によれば「税務上の取り扱いについては、当局への紹介を行っているものの現時点において結論は出ておりません」とされており、同社では「本信託の信託財産を「自己株式」として取り扱っております」とされています。

同社は6月決算なので、今後追加の開示がなければ税務上の取り扱いは自己株式扱いということなのでしょう。有報等でチェックしてみようと思います。

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