普通預金を受け取るまでの期間に行った課税仕入れは全て「課税売上げにのみ要するもの」か?
“預金の利息だけなら全額仕入控除できる?-消費税95%ルール見直し”というエントリで、普通預金しか非課税売上が存在せず、課税売上割合が99.99%であったとしても全額を仕入税額控除とすることはできないというQ&Aが税務通信に記載されていたと書きました。
これに関連する記事が2011年12月19日号の税務通信に掲載されていたので紹介します。
今回の記事は、普通預金の利払いは通常年2回であることから、普通預金を受け取るまでの期間に行った課税仕入れは全て「課税売上げにのみ要するもの」と区分して問題ないのかとの疑問が実務家から寄せられたということに対する内容です。
結論としては、「預金の支払いが行われるまでの期間において非課税売上はないとして課税仕入れの用途区分を行うことはできないものと考えられる」とされています。
理由は、「預金利息は、金融機関等に金銭を一定期間預け入れることによって支払われるものであり、その預け入れ期間を通じて資産の譲渡等の対価が支払われるというものである」ためです。
実務家から疑問が寄せられるというのは、普通預金の利息しか非課税売上がないにも関わらず、控除できない部分が生じてしまうのはやはり納得できないという考え方が根底にあるためだと考えられます。
つまり、非課税売上が普通預金の利息しかないような場合、普通預金に対する経費というものはないので全額仕入税額控除とれるはずだという見解です。
心情的には非課税売上が普通預金の利息しかない場合くらいは見逃してあげてもいいのではないかという気がしますが、理論的にはやはり厳しいように思います。
理由としては、表面上普通預金に対する経費はないように見えますが、普通預金の増減は企業活動全体の結果として生じるものであり、会社全体の業務を担うような部門が存在するのが一般的である以上、課税売上割合が100%でない限り課税仕入れには非課税売上に対応する部分も含まれているはずだと言われてしまえばそれを否定するのは難しいと考えられるためです。
実務上の煩雑さ等を勘案して、税務当局から通達等でも出されない限り、課税売上が普通預金の利息だけだとしても全額仕入税額控除をとるというのはリスクがあるように思います。
日々成長。