為替予約の振当処理(その2)
今回は”為替予約の振当処理(その1)”の続きです。
前回は一般的に取引をイメージしやすい取引と同時の為替予約、ないし事後的な為替予約の処理について書きましたので、今回は為替予約が先行した場合(いわゆる予定取引)の場合の処理について確認します。
まず、簡単なケースとして予定取引に対して為替予約を締結し、決算日前に決済されるケースを考えます。
前回同様、簡単な設例で考えると、処理は以下のようになります。
このケースは、会計処理的(仕訳的)には一番簡単な処理ではないかと思います。
次に、決算日を挟んで取引が行われるケースを考えます。上記のケースに比べて少し複雑になります。ポイントは、決算日に為替予約をどのように処理するかです。
上記のとおり、予定取引に対して為替予約を締結し、決算日時点で対象取引が発生していない場合には、決算日時点で為替予約から生じている評価差額を繰り延べる処理を行う必要があります。
振当処理を採用しているからといって、ういている為替予約について決算日に何も処理しなくていいというわけではないという点がポイントとなります
予定取引の場合、為替予約が先行するため前回述べたような直々差額とか直先差額ということは考えなくてよいので、予定取引の場合の方が会計処理的には楽な方法と言えるかもしれません。
であるならば、為替予約を先行させてしまえばいいということになりますが、予定取引に対して振当処理が認められるためには一定の要件を満たす必要があります。
一定の要件とは、以下の二つです(金融商品会計基準注解12)。
(1)未履行であるが契約が締結されている取引
(2)契約は締結されていないが、取引予定時期、取引予定物件、取引予定量、取引予定価格等の主要な取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、その取引が実行される可能性が極めて高い取引
このような要件が認められるのは、予定取引に対するヘッジ会計を適用しているのと同じような効果があるため、予定取引に対してヘッジ会計を適用する際に求められる要件が必要ということなのですが、とりあえずの理解としては、本来決算時に時価評価すべき為替予約(デリバティブ)の評価損益を繰り延べるという特別な処理を行うためくらいに理解しておけばよいと思います。
では、予定取引に対して振当処理を適用した場合とヘッジ会計を原則どおり適用した場合にどう違うのかですが、これは別の機会に取り扱うことにします。
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