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資本剰余金を原資とする配当は税務上の取扱いにも注意

今回は、資本剰余金を原資とする配当についてです。

会社法の分配可能利益の定めはごちゃごちゃ書いてあるのですが、結局のところ「その他資本剰余金」+「その他利益剰余金」となり、この範囲で剰余金の配当を行うことが認められています(会社法453条、446条)。

そして、会社法上は剰余金の配当をする場合の原資を、その他資本剰余とすかその他利益剰余金とするかは会社が決定することができるとされています。したがって、その決定に従って会計処理(どちらの剰余金をいくら減額するか)も行うことになります。

実際に「その他資本剰余金」を原資として剰余金の配当を行っているような会社があるのかを調べてみたところ、数は少ないもののいくつかの会社が見つかりました。

1.㈱オストジャパングループ(2011年6月期)

この会社では、連結株主資本等変動計算書関係の注記に以下のような記載があります。

なぜ「その他資本剰余金」を原資としているのかについては、以下の親会社の純資産の部をみるとわかります。

上記のとおり、そもそも親会社の利益剰余金がマイナスであるため、原資を「その他の資本剰余金」に求めるしかなかったということのようです。親会社がこのような状況にあるなかで敢えて配当をするケースは稀ではないかと思いますが、連結BSでは利益剰余金がプラスとなっており配当すべきという考えだったのかもしれません。

2.AOCホールディングス(2011年3月期)

この会社も、連結株主資本等変動計算書関係の注記に以下のような記載があります。

この会社の場合は以下のように、親会社単体の純資産の部で、70百万円の利益剰余金を計上していますが、配当しようとする金額(463百万円)には足りず、配当原資を「その他資本剰余金」としているようです。

なお、その他資本剰余金を原資とする場合の配当については税務上の取扱いに注意が必要なようです。つまり、資本剰余金を配当原資とする場合には、資本金等の額と利益積立金額の割合に応じて、当該配当総額のうち①資本金等の額に対応する部分については、その金額のうち株主の保有割合に相当する金額を株式の譲渡対価として譲渡損益課税が行われ(法法61の2⑰、措法37の10③三)、②利益積立金に対応する部分はみなし配当となり(法法24①三、所法25①三)、受取配当金として処理されることになります。

このため、その他の資本剰余金を原資とした配当の場合は、利益剰余金を原資とする配当と税負担関係が変わってくることになります。そのため、法人税法では平成18年の税制改正によって、利益剰余金と資本剰余金双方を原資とするような配当を行った場合には、まず資本剰余金の減少額の範囲内で資本金等の額を減少させ、交付した金銭等のうち減少資本金等の額を超える部分の金額を利益積立金の額(株主にとっての受取配当額)とするとされています(法法24①、法令8①十九)。

このことからすると、たとえば上記のAOCホールディングの場合、通常の配当とは課税関係が異なります。この点について、同社のHPで確認すると、第9期期末配当に関するご説明という文書が掲載されており、以下のように述べられています。

株主の立場からすると、きちんと利益剰余金から配当できるようにしてよ!という感じではないかと思います。

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