リース取引の会計処理の検討が再開-ASBJ
2013年5月16日にIASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)からリースの再公開草案が公表されたことを受け、ASBJ(企業会計基準委員会)でもリース取引の会計処理に関する審議が再開されました。
IASBおよびFASBの再公開草案で提案されている会計処理の概要は以下の通りです。
- 借手は、短期リース(12カ月以内のリース)を除きすべてのリースをオンバランスしなければならない(=すべてのリースから生じる資産および負債を貸借対照表に計上しなければならない)
- 不動産か不動産以外のリースかによって会計処理を使い分ける
会計処理の使い分けとは?
公開草案では、上記のとおり不動産か不動産以外のリースかによって異なる会計処理を使用することが提案されています。
具体的には、リース取引をTypeAとTypeBに分類し、それぞれ以下のような処理を行うことが提案されています。
TypeAおよびTypeBの会計処理については、①資産計上された金額の償却と②リース債務に対する利息費用の計上という二つの側面があるという点をまず頭に入れておくと、以下が理解しやすいと思います。
(1)不動産以外のリース(機械装置等のリース)
不動産以外のリースは、上記のうちTypeAに分類されます。TypeAに分類されたリースについて、資産計上された金額(使用権資産)は原則として定額法で償却することが提案されています。
これだけだとTypeBでは?という感じがしてしまいますが、リース債務の処理方法についてはTypeAでもTypeBでも同様の処理が提案されているため、資産計上された金額を定額法で償却すると毎期の費用計上額は一定とはなりません。
リース債務の処理方法については、TypeAでもTypeBでもリース開始日において、将来リース料総額の割引現在価値で測定することとされています。そして当初測定後については、実効金利法を使用して償却原価で測定することとされています。
したがって、リース債務残高が大きい当初ほど費用計上される金額が大きくなるため、資産の償却費との合計額で考えると、費用合計額は毎期減少していくことになります。
(2)不動産のリース
不動産のリースはTypeBに分類されます。TypeBでは、資産計上額の償却費は、負債に関する割引の振戻しとの合計額が毎期定額となるように算定することとされています。
したがって、リース債務残高が大きい当初ほど資産計上された金額の償却額は小さく算定されることになりますが、資産の償却額と負債の利息費用相当額の合計額は毎期一定額となります。
IFRSや米国基準で上記の改正が実現した場合、日本基準もこれらに追随する可能性が高いように思いますが、IFRSの任意適用要件が緩和されるのであれば、海外投資家にアピールしたい会社はIFRSを任意適用することとして、日本基準は独自路線を行くという方法も考えれます。
個人的には、こんな基準を作る意味が本当にあるのかという気すらしてしまいますが、非上場で会社法監査だけをうけているような会社は悲惨ですね。
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