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期末発行済株式数と自己株式数の関係

計算書類の注記表には株主資本等変動計算書に関する注記として「当該事業年度の末日における発行済株式の数」を注記しなければなりませんが、会社が自己株式を保有していた場合に自己株式の数をどう取り扱うかの確認です。

結論としては、自己株式の数は、発行済株式数に影響しません(=控除しない)が、うっかりしていると間違えてしまう可能性があります。

まず、自己株式数が発行済株式数に影響しないという点ですが、この点については計算書類作成の参考書籍にも明示的に記載されておらず、そもそも自己株式数を控除するのかしないのかで悩むことがあるかもしれません。
というのは、ネットを検索すると「発行済株式総数の計算には、自己株式は含まれないが、単位未満株式は含まれる。」というような記載が多数目につきますし、自己株式を純資産の部から控除して表示するということからも自己株式数を控除する必要があるのでは?という考えが浮かぶためです。

発行済み株式総数として記載すべき株式数から自己株式数を控除するのかしないのかという点を端的に表しているのは、1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針35項に掲げられている一株当たり純資産を計算するための以下計算式です。
1jun

上記の算式の分母に注目すると、「期末の普通株式の発行済株式数」から「期末の普通株式の自己株式数」を差し引くとされています。元々発行済株式数に自己株式数が含まれないと考えるのであれば、あらためて自己株式数を差し引く必要はありませんので、発行済株式数は自己株式数控除前の値を用いるということになります。

ネットでよく見かける「発行済株式総数の計算には、自己株式は含まれないが、単位未満株式は含まれる。」というような表現は、投資家が注目する一株当たり情報の計算にあたり、分母となる株式数には自己株式は含まれないが、単位未満株式は含まれるというような意味だと考えられます。

上記のように一株当たり純資産や一株当たり純利益の計算上は分母から自己株式数が控除されますので、そこで計算した株式数をうっかり「当該事業年度の末日における発行済株式の数」として記載してしまうということもあり得ますので、注意が必要です。

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