消費税追加請求担当者の苦悩
昨日”保守サービスの消費税を追加請求する旨の案内を初めて受け取りました”というエントリに対してコメントを1件頂きました。
消費税増税が決まる前に販売していた保守契約に対して消費税を追加請求する作業を行っているという方からのコメントです。実務を担当している方からの貴重なコメントなので、ここで紹介させて頂きます。
当方、請求する側の立場の人間です。
本当に大変ですし、割に合わない仕事です。私も、規模感が同じくらいの商品の保守契約を扱っています。
年間20万以下の契約群ですと、人件費だけでも完全に赤字ですね。
1ヶ月未満の差分費用請求もありますから。
先の例のように、1000円未満の請求もあります。専用のシステムも無いので、全部[手動]での計算になります。
1ヶ月単位ならまだしも、日割り計算などが入ると最悪ですね。お客様への案内、納得しないお客様への電話・メール・訪問して頭を下げてのお願いもあります。
しかもイレギュラー処理のため、過去の見積・受注・請求データに対して、赤黒処理を行います。
つまり、5%で請求・支払い完了した契約に対して、同額のマイナスの赤処理を一から全て行います。
これは融通が効かないシステムを使っている会社の責任ですが…。その上で、5%での見積・受注・請求と、8%の見積・受注・請求をやりなおします。
もちろん、全て書類を揃えて、承認を回して、判子を押して、控えを取って…。本来、1回で済んでいた処理が、合計4回の処理を行う事になります。
つまり、事務処理の仕事が4倍です。
ステータスによっては、事務処理の仕事が2倍~3倍と異なってきます。
契約によっては、入金・請求・受注・注文請・見積とステータスが異なりますので、契約毎に異なるオペレーションが必要です。
それらも状況確認や異なる手順を正しく行う必要があり、契約毎の管理に頭を悩ませています。これがほぼ全部の契約でやらなくてはいけません。
具体的な数値は言えませんが、対象となる契約が数千件もあります。管轄の国税の指導だか、監査法人の指導だかで、全部やりなおしです。
もっと早く言ってくれれば、赤黒処理なんてしなくて済んだのに…。しかも、国税の管轄によって方針が違う、担当者によって方針が違ったり、後から方針が変っています。
なぜ、国で全て統一してくれないのですかね?振り回されるのは現場です。私よりも、お金の扱いに近い部署の人達(特に経理)は、悲鳴を上げています。
ここ最近は、消費税対応のために、毎日のように徹夜・午前様・タクシー帰りのようです。(残業代は出ているのだろうか…?)
無駄な仕事が増えても、利益が増えるわけじゃないから、人も増やしてくれないのです。これが年末まで続くのかと思うと、死人が出るんじゃないかと危惧しています。
さらに言ってしまえば、3年や5年で結んでいる契約もあるので、後から「10%に対する差分も含めて請求しろ」と言われそうで、先が思いやられます。
コメント主のau200xさんが書かれているように追加請求してもすんなり払ってくれないお客さんもいるので「納得しないお客様への電話・メール・訪問して頭を下げてのお願い」なども必要になります。その結果、追加請求しようとしても最終的には泣き寝入りという事態もありえます。
また、これもよくわかるのですが「無駄な仕事が増えても、利益が増えるわけじゃないから、人も増やしてくれない」というのは多くの会社で当てはまる事象ではないでしょうか。実務担当者の感覚からすれば1件あたりの請求額が小さければ、かかる経費を考えれば赤字です。それを説明して「じゃあ、あきらめよう」と言ってくれる上司(経営陣)であれば救われます。
合理的に判断すれば「じゃあ、あきらめよう」なはずですが、事務方が効率的にやればいいとか、売上が減るのは困るとか、そうならないことも多々あるのも事実です。
個人的には、ほぼないだろうと思いつつも、au200xさんが書かれているような非経済的な状況が生じているという事実を国が認識して何らかの手当てを講じてくれるのではと米粒ほどの期待をしています。しかしながら、このように大変な思いをして対応されている方も多いということからすれば、今さら別の手当をすることにしましたというのも、もはや手遅れでしょうか・・・
このように大変な思いをしなければならないのにもかかわらず、たった1年半でさらに税率を変更しようとするセンスはどうにかしてもらいたいものです。
日々成長