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税制適格ストックオプションの行使期間は延長できる?

今回は税制適格ストックオプションの行使期間の延長についてです。

税制適格の要件の記憶が曖昧な状態で、行使期間の延長は必要な手続きをとれば可能なはずだと思いましたが、税制適格でなくなるのでは?という点が疑問でした。

ストックオプションを税制適格とする主な要件は以下のようになっています。
(1)付与対象者

次のいずれかに該当する者(一定の大口株主及びその特別関係者を除く)
・自社の取締役、執行役又は使用人(およびその相続人)
・発行済株式総数の50%超を直接又は間接に保有する法人の取締役、執行役又は使用人(およびその相続人)

(2)権利行使期間

付与決議日後2年を経過した日から付与決議の日後10年を経過するまでの間

(3)権利行使価額

ストックオプションにかかkる契約締結時の一株当たり価額以上

(4)権利行使価額の制限

権利行使価額が年間1200万円を超えない

(5)その他

譲渡が制限されていること

行使期間を変更してはならないというような要件はないので、上記(2)の要件を超えない範囲であれば行使期間を変更しても税制適格の要件は維持されるということになります。

あまりイメージにはなかったのですが、「ストックオプション 行使期間 延長」でネットを検索してみると、ストックオプションの行使期間を延長している事例がいくつか出てきました。

例えば、SBIライフリビング株式会社では平成24年6月開催の株主総会において、世界的な株式市場低迷により権利行使ができない状況が長期に渡ったため、役員や従業員の意欲を向上することを目的として行使期間を3年延長しています。
行使期間が延長されたストックオプションは平成20年3月に開催された臨時株主総会で付与され、当初の行使期限が平成25年3月31日までのものでした。したがって、3年延長されたとしても付与決議日から行使期限までが約8年ということになり10年は超えていません。

また、株式会社医学生物学研究所では平成18年6月の株主総会で付与したストックオプションの行使期限を平成23年6月開催の株主総会で5年延長されています。
こちらのケースでは、当初権利行使期間が「平成18年7月29日から平成23年6月30日まで」(ほぼ5年)であったものが、「平成18年7月29日から平成28年6月30日まで」とほぼ10年に延長されています。
理由はこちらも「株式市場低迷等の影響もあり、第3回新株予約権が行使されない状況が長期間にわたって生じたことから、当社の業績向上に対する意欲及び責任の維持等のため」とされています。

ちなみに、株式会社医学生物学研究所のストックオプションの行使価格は1000円で、株価の推移を見ると2008年くらいから500円を下回る水準で推移していまいたが、2013年は5月~6月にかけて何日か1,000円を超えたので行使期間を延長した効果はあったかもしれません(現時点の株価は500円程度ですが・・・)。

権利行使できない(するメリットがない)状態であれば、行使期間を延長せずに新たに付与したほうがすっきりするのというような気がしますが、上場準備会社で純資産が着実に増加しているようなケースにおいては、当初行使期間が比較的短い期間で設定されているのであれば行使期間を延長することも検討の余地がありそうです。

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