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「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正が公表されました

2014年2月24日に日本公認会計士協会から「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(会計制度委員会報告第4号)の改正が公表されました。

今回の改正は、「平成25年9月に改正された企業結合会計基準及び連結会計基準に対応するための改正を行ったもの」(1-4項)です。そのため、外貨の実務指針以外にも「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」をはじめ複数の実務指針で改正が行われていますが、今回は「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正内容を確認します。

「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の新旧対照表を確認してみると、大部分は「少数株主持分」→「非支配持分」、「評価・換算差額等」→「その他の包括利益累計額」といった名称の変更となっています。

実質的な改正箇所としては、以下の二つとなっています。
(1)退職給付会計基準の改正により連結上生じるその他の包括利益累計額の取扱い
(2)持分変動が減少した場合の為替換算調整勘定の取扱い

(1)退職給付会計基準の改正により連結上生じるその他の包括利益累計額の取扱い

この点については36項に、「なお、退職給付会計における未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の負債計上によって生じるその他の包括利益累計額については、子会社の個別財務諸表上は計上されないが、連結財務諸表上は計上されるため、親会社による株式の取得後に生じた評価・換算差額等に属する項目に含まれる。」という部分が追加されています。

上記の部分だけ記載すると意図がよくわからないと思いますが、「親会社による株式の取得後に生じた評価・換算差額等に属する項目については、決算時の為替相場による円換算額を付する」という文の続きですので、要は「退職給付会計における未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の負債計上によって生じるその他の包括利益累計額」はCR換算が適用されるということになります。

(2)持分変動が減少した場合の為替換算調整勘定の取扱い

改正により以下の42-2項と42-3項が追加されています。

(持分変動(減少)により連結子会社の支配を喪失した場合 )
42-2.持分変動により支配を喪失した場合、為替換算調整勘定のうち持分比率の減少割合相当額は、株式売却損益を構成し連結損益計算書に計上する。

(持分変動(減少)によっても連結子会社の支配が継続される場合)
42-3.持分変動によっても支配関係が継続される場合、為替換算調整勘定のうち親会社の持分比率の減少割合相当額は資本剰余金に含めて計上する。
 連結修正手続における具体的な会計処理は、為替換算調整勘定のうち親会社の持分比率の減少割合部分である為替差損益相当額(個別損益計算書に計上された株式売却損益に含まれる。)を資本剰余金に振り替え、連結貸借対照表に計上されている為替換算調整勘定のうち持分比率の減少割合相当額を取り崩し、非支配株主持分に振り替える。[設例13] なお、持分変動によって生じた資本剰余金は、支配を喪失し、連結範囲から除外する場合でも、引き続き、連結財務諸表上、資本剰余金として計上する(資本連結実務指針第49-2項参照)。

上記のうち42-2項については従前の42項に記載されていた「連結修正手続における具体的な会計処理は、個別損益計算書に計上された株式売却損益に含まれる為替差損益相当額を連結損益計算書においてもそのまま計上するように連結貸借対照表に計上されている為替換算調整勘定のうち売却持分相当額の取崩処理を行うことになる。」という処理と類似していますが、従前は支配が継続しているかどうかは無関係であったのに対して、改正42-2項はあくまで支配を喪失した場合の処理となっています。

一方で42-3項は、完全に従来の処理とは異なる処理が要求されています。つまり、支配が継続する場合の親会社持分減少による為替換算調整勘定見合いの持分減少額は資本剰余金として処理することが必要となります。
また、一度資本剰余金として処理された金額は、その後さらに持分が減少し支配を喪失したとしても損益として実現することはなく、「連結財務諸表上、資本剰余金として計上する」とされています。

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