閉じる
閉じる
閉じる
  1. 雇用調整助成金を独立掲記する場合の表示区分は何が主流?
  2. 東証1部上場会社の議決権行使書面の行使期限を巡る判決
  3. 短期前払費用の特例における継続要件の留意点
  4. 決算期変更で1年超の会計期間となった場合の対応
  5. 3月決算会社(2021年)の総会前有報提出は27社
  6. 東証一部上場会社の約3割がESG、SDGs等を有報で開示
  7. 株式交付(その3)-手続概要
  8. 電子データと紙の両方で受領した請求書等の保存の取り扱いはどうなる?
  9. IFRS任意適用会社数の伸びが鈍化
  10. 岸田氏は四半期決算撤廃派?
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

当然といえばそれまでですが、税額増加に同意を得ずに申告した税理が敗訴

T&A MasterNo.535に”税理士の訴訟トラブル、最近の税賠事例から見る注意点”という記事が掲載されていました。

ここで紹介されていた事案は歯科医の保険診療報酬にかかるものでした。まず、

保険診療報酬=国保や社保支払基金が負担する部分+患者が窓口で負担する部分

という関係にあります。「患者が窓口で負担する部分」というのが、会社員であれば通常3割負担と言われている部分です。

したがって、保険診療報酬と患者の負担割合がわかれば、保険診療報酬から「患者が窓口で負担する部分」の理論値を計算することができます。というよりも、普通に考えるとこの理論値=窓口で実際に患者から受け取った金額となるはすです。

ところがこの事案では、保険診療報酬から計算した理論値よりも窓口で患者から受領した金額が少ない状態にありました。そして、同歯科医の顧問税理士の職員は、上記の関係が成立しなければおかしいと考えて納税者の同意を得ずに「差額部分を窓口収入(売上)に加算する」処理を行った上で、納税者の所得税確定申告書を作成しました。

納税者は、この差額を調整したことにより本来納付する必要のない所得税などを納付させられたとして過払いとなった所得税約100万円の損害賠償を求める訴訟を税理士に対して提起しました。

結果的に、裁判所は納税者の訴えを認め、税理士に対して納税者が過大に納付した所得税相当額の支払が命じられました(控訴中)。

裁判所は、税理士事務所の職員が、納税者の窓口収入について、保険診療報酬から計算した理論値により算定された金額を決算書に記入し、事業所得を算出した事自体をもって、これが税務申告書上不適切であったとか、税理士としての善管注意義務に反する処理方法であったとはいえないとしつつも、税務申告として不適ではない(妥当)と認められる場合であっても、それを行わなかった場合に税額が増加することが予想される場合には納税者に説明し同意を得るべきと指摘しました。
そして、税理が納税者の委任事務を処理する義務を尽くしたとは到底認められないとして、納税者の損害賠償請求を認めました。

税理士法第1条には税理士の使命として「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と定められています。
この事案の税理士事務所の職員は「独立した公正な立場」から「納税義務の適正な実現」をめざしたとも考えられ、そういった意味では少し酷な気はします。

しかしながら、報酬は納税者が負担している以上、理論値と差額が生じているのであれば納税者に確認するくらいはすべきですし、認められるのかは定かではありませんが、ベースとなった保険診療報酬額は正しく、価格を安くして近隣歯科医との競争に勝つため窓口負担を安くしていたということもあり得るのではないかと考えられます。仮にこのような処理が認められるのであれば、納税者が「本来納付する必要のない所得税などを納付させられた」と主張するのも頷けます。

たった一言、「何故理論値と差額が生じているのですか?」と聞いていさえすれば、このような事態は避けられたのではないでしょうか。

日々成長

関連記事

  1. 連結納税の税効果(その3)

  2. 消費税基本通達11-2-19の適用範囲は限定的

  3. 所得金額1億円超の人数は5年で60%増加

  4. 平成27年度税制改正-自治体によっては法人税割の不均一課税にも影…

  5. 3月決算6月末申告でも一定の対応で利子税が免除になるそうです

  6. 自宅兼事務所の家賃が必要経費として認められなかった裁判の詳細が判…

カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 11,485,821 アクセス
ページ上部へ戻る