満期特約型仕組み預金(マルチコーラブル預金)とは?
ちょっと前までは低金利とはいえ長期金利が1%近くあったような気がしていましたが、気付けば減税の長期金利は0.6%程度となっています。
1年定期預金でも0.5%程度の利息しか期待できないような低金利となると、銀行が怪しげな金融商品を提案してくることが多くなります。その典型例が満期特約型仕組み預金(マルチコーラブル預金)です。
だいたい満期は5年か10年のもので、期間を通して一定の金利のものや前半5年と後半5年で金利が異なっているようなものがあります。前半5年と後半5年で金利が異なっているタイプのものは、いやらしいことに後半5年の金利が前半よりも高めに設定されていたります。
何故、それがいやらしいというのかといえば、現状の金利が続いたとすれば10年物の定期預金の金利と比較して5倍~10倍の金利となっており、一見ものすごく有利なように見えるためです。しかしながら、満期特約型仕組み預金の場合、通常満期を決める権利を持っているのは銀行です。
したがって、現時点で有利に見える金利ですが、それが適用されることがあるとすれば、その時の市場金利はもっと高くなっているはずで、預金者側からすれば機会損失が生じることになります。この手の預金の金利が高いのは、預金者が銀行に対してオプションを売っている対価であるという点を忘れてはなりません。しかも、オプションの対価が妥当価格で金利に反映されているのかどうかは一般人には判断がつきかねますので、銀行に有利な商品となっていると疑ってかかるくらいでちょうどよいと考えられます。
市場金利がどのように推移しようとも、満期になれば当初の元本が払い戻されるので、そういった意味では名目上元本割れのリスクはないと考えられます。しかしながら、満期特約型仕組み預金の利率が0.5%だったとして、市場金利が2%になっても、預金者から預金を解約することはできません。正確に言えば、解約することは可能ですが、銀行に有利な条件を放棄させるわけですから、その分を支払って解約しなければなりません。当然ですが、預金の金利と市場金利の差が大きくなればなるほど、解約しようとした場合に支払わなければならない金額は大きくなります(この場合、結果的には元本割れとなる可能性はあります)。
そのようなリスクを踏まえて、割に合う金利なのかをよくよく検討する必要があると考えられます。
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