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価格改定用シールの提供要請も消費税転嫁対策法の指導対象に

T&A master No.539に「転嫁対策法・立入検査の現状と対応策」という特集記事が掲載されていました。

その中で、公取の資料に基づき当局の指導事例が掲載されていました。ここで紹介されていたのは、以下のような事例です。
・消費税増税後も価格を据え置くこととしたという事例
・消費税増税分以上の値下げを要求した事例
・本体価格での価格交渉を拒否したという事例

これらの事例については転嫁対策法に抵触するというのは認識していましたが、危ないなと思ったのが次の事例です。

大規模小売事業者であるB社は、自社で販売する繊維製品の納入業者(特定供給事業者)に対し、平成26年4月1日以後の消費税率の引き上げに関して、納入業者の負担によって、消費税率引き上げ時の価格表示の変更に迅速に対応するための値札(平成26年4月1日以後の価格を印刷した値札の上に、同年3月末までの価格を印刷したシールを貼り付け、同年4月1日以後は当該シールをはがして販売することが可能となるもの)を添付して納入するよう要請した。

上記の行為は利益提供の要請(転嫁対策法3条二)に該当し、立入検査および当局の指導の対象となったとのことです。たしかに利益提供の要請といわれればそのとおりなのですが、仕入側が売主に対して商品の機能や品質、ひいては納入時の荷姿まで様々な要請をすることは消費税増税とは関係なく一般的に行われていることではないかと思います。仕入側からすると、このような要請に対する対応力も含めて納入業者を選定しているように思います。

したがって、このような要請の延長で、転嫁対策法に違反しているという意識なく上記で掲げられているような要請をしてしまうことも気を付けないとありえるので注意が必要です。

最後にもう一つ、「合理的な理由」がなく、通常支払われる対価よりも低く対価を定めれば「買いたたき」に該当することになりますが、「ガイドラインには明記されていないが、「合理的な理由」は、買手側が証明する必要があることも、本誌取材で確認されている」とのことです。
したがって、この時期に不用意に値引きを要請すると、転嫁対策法違反だと言われ、その結果「合理的な理由」の説明が必要となる可能性があるので、これも注意が必要です。

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