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共通支配下での事業譲渡の税効果-譲受側ではいつ税効果を認識すべき?

今回は共通支配下で行われた事業譲渡に係る税効果についてです。このテーマについては、前に”共通支配下の事業譲渡における税効果がよくわかりません”というエントリで書きましたが、その際の疑問点につき解説している書籍がありました。

以前の疑問点は、以下の二つに要約できます。

  1. 現金を対価として共通支配下で事業譲渡が行われた場合の譲受会社での処理として、事業譲渡により新たに発生した税効果をいつ認識すべきなのか
  2. 移転資産の会計上の帳簿価額と移転資産の時価の時価との差額はどのように考えるのか

「組織再編における税効果会計の実務」(有限責任監査法人トーマツ)によると、最初の疑問点にて対して、共通支配下の取引の場合、繰延税金資産・金負債の計上は具体的に明示されていないが、繰延税金資産・負債についても適正な帳簿価格を引き継ぐという原則同様の取り扱いになると考えられると示されています。

そのうえで、以下のように述べられています。

ただし、「共通支配下の取引」であっても対価が現金等の場合には、受入事業から生じる一時差異について、回収または支払が見込まれない額を除き、企業結合時に繰延税金資産および繰延税金負債を計上することになると考えられる。なぜなら、分離元企業において、投資の清算の会計処理が行われる(事業分離等会計基準10項(1)、75項)場合、通常の資産の譲渡と同様、移転事業の資産・負債に係る繰延税金資産および繰延税金負債は、基本的に事業分離等の決算時に取り崩され、事業受入企業には引き継がれないものと考えられるためである(「組織再編における税効果会計の実務」(有限責任監査法人トーマツ)P143)。

要約すると、共通支配下の取引であっても現金等が対価である場合は、投資が清算されるという側面あるため、受入側では企業結合時に新たに繰延税金資産・負債を識別する必要があるということになりそうです。

同書では、共通支配下の事業譲渡について以下のような設例で解説が加えられています(P172)。

(前提条件)
・子会社(持分比率80%)から親会社へ事業譲渡により事業を移転する。
・子会社資産(繰延税金資産を除く)の会計上の帳簿価額:100
・子会社の時価:250
・上記のうち識別可能資産(繰延税金資産を除く)の時価:150
・実効税率40%
・親会社・子会社ともに繰延税金資産の回収可能性に問題はないとする
2014-06-06_1

そして、この場合の事業譲渡時の仕訳として以下が示されています。

借) 移転資産    100  貸)現金預金 250(*1)
   繰延税金資産    60
   のれん(*2)      90

(*1)譲渡対価(移転事業の時価)。
(*2)譲受事業の資産・負債に係る一時差異50(移転資産の会計上の帳簿価額100と移転資産の税務上の時価150との差額)および資産調整勘定100について、税効果(40%)を認識。

上記の設例の場合、譲受会社で移転資産の会計上の帳簿価額と移転資産の時価との差額についても繰延税金資産が計上されているため、理解しやすい設定となっています。

問題は、事業譲渡前に、既に将来減算一時差異が100発生していたことが関係するのかです。(前提上、譲渡側ではこの部分について繰延税金資産が計上されていたものと考えらえます)
しかしながら、上記のとおり、現金等を対価とする共通支配下の事業譲渡の場合、譲受側では企業結合時に新たに繰延税金資産・負債を識別することになるとのことですので、譲渡前に生じていたか否かは問わないということになるものと考えらえます。

企業結合時に受入事業から生じる資産調整勘定以外の一時差異についても回収(支払)可能性を考慮して繰延税金資産・負債を認識し、のこった部分を会計上ののれんとするという整理であるとすれば、理解できます。

日々成長

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