閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

四半期決算における有価証券と固定資産の減損の取扱い

今回は四半期決算における有価証券と固定資産の減損についてです。

四半期会計期間末における有価証券の減損処理については、四半期切放し法と四半期洗替え法のいずれかの方法を選択適用することが認められています(四半期適用指針4項)。

四半期切放し法は、減損処理を行った後の四半期会計期間末の帳簿価額を時価等に付け替えて、当該銘柄の取得原価を修正する方法を意味します。

四半期洗替え法は、四半期会計期間末における減損処理に基づく評価損の額を翌四半期会計期間の期首に戻し入れ、当該戻入れ後の帳簿価額と四半期会計期間末の時価等を比較して減損処理の要否を検討する方法を意味します。

いったん採用した方法は、原則として継続して適用する必要がありますが、四半期洗替え法を採用している場合、ある四半期で減損処理を行っても年度末までに戻し入れが発生する可能性があります。

例えば3月決算会社の第2四半期末に減損処理を行った有価証券が、日銀の金融緩和の影響で現時点で見れば減損不要なレベルに回復しているということもあり得るわけです。

一方で、固定資産の減損については、四半期適用指針14項において「四半期会計期間における減損の兆候の把握にあたっては、使用範囲又は方法について当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化を生じさせるような意思決定や、経営環境の著しい悪化に該当する事象が発生したかどうかについて留意することとする。」とされているだけで、四半期決算において減損損失を計上した場合に、有価証券のように翌四半期で減損損失を戻し入れるという選択肢は用意されていません。

このような違いが生じるのは何故なのでしょうか。適用指針の結論の背景では、有価証券の減損について戻し入れを認める理由として「有価証券の減損処理は、年度末においては切放し法のみであるが、四半期会計期間末においては、関連諸制度との整合性も考慮し、継続適用を条件として、四半期切放し法と四半期洗替え法のいずれかの方法を選択適用することができることとした」と述べられています。

「関連諸制度との整合性」が何を意味しているのかは述べられていませんが、四半期決算導入前の中間決算時の処理との整合性を意味していたと記憶しています。

当時の金融商品会計のQ&Aには以下のようなものがありました。

Q31:減損処理は中間決算においても実施しなければなりませんか。また、中間決算で実施した場合には、年度決算においても洗替処理を行うことが認められますか。

A:中間財務諸表は、原則として年度決算に適用される会計処理の原則及び手続に準拠して作成しなければならないとされていますので(中間財務諸表作成基準(第二.一))、減損処理は中間期においても当然に実施しなければなりません。
なお、年度決算において減損処理を行った場合、当該銘柄の帳簿価額を時価により付け替えて取得原価を修正することになるため、評価損計上額の洗替処理は行われませんが、この取扱いは、中間決算では適用されません。中間財務諸表作成基準注解(注1)では、「年度決算では、中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて会計処理が行われるため、中間決算の基礎となった金額とは異なる金額が計上される場合がある。」とされて、「時価が著しく下落した場合のたな卸資産等についての評価損」が例示されていますが、この「等」には有価証券が含まれるものと解されるところから、有価証券の中間期における減損処理については、年度決算での洗替処理を行うことが認められます
(以下省略)

上記のとおり中間財務諸表で計上された有価証券の減損は年度での洗替処理が認められていたため四半期でも有価証券の減損の戻入が認められることとなっています。

一方で、固定資産の減損については、減損会計の適用指針145項において以下のように述べられています。

中間会計期間において減損処理を行った資産に係る取扱い

145. 年度決算では、中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて会計処理が行われる(中間財務諸表作成基準 注解(注 1)参照)。ただし、減損処理は、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態が相当程度に確実な場合に限って、回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理であり(減損会計意見書 三 3.及び四 2.(2)①参照)、たな卸資産の評価基準としての低価基準等とは異なり、直接的に貸借対照表価額を求めるものではない。このため、本適用指針では、中間会計期間において減損処理を行った場合でも、年度決算までに資産又は資産グループに新たな減損の兆候があり追加的に減損損失を認識すべきであると判定されるときを除いて、年度決算において、中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて会計処理を行わないものとした。

つまり、固定資産の減損の場合、当該固定資産の長期に及ぶ使用期間で考えて減損が必要と判定された場合に減損損失が計上されるため、数か月の間にその状況が劇的に変化し減損が不要となる可能性は極めて低いので、通期で考えた場合の処理は不要ということになっています。

慣れてしまうと違和感も感じなくなりますが、ちょっと気になったので確認してみました。

日々成長

関連記事

  1. 東証の上場基準が緩和されたそうですが・・・

  2. 現物配当の会計処理

  3. 不正リスク対応基準の公表-適用は平成26年3月期から(その2)

  4. 連結BSに「仮想通貨」が298億円

  5. 消費税(その2)-個別対応方式と一括比例配分方式

  6. 外貨建有価証券の評価減の会計処理




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,962,130 アクセス
ページ上部へ戻る