「カジノ調査」をトーマツが激安落札って、いくらだろう?
FACTAの2016年7月号に”トーマツが「カジノ調査」激安落札”という記事が掲載されていました。
記事で取り上げられていたのは、横浜市が公募した「IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討調査(その2)報告書」です。要は、カジノを目玉とした観光施設で、カジノの誘致を検討している横浜が、導入の可否を判断するための調査報告書です。
「その2」というくらいなので「その1」があったのかと、横浜市のホームページを確認してみると、平成26年5月に入札が行われており、入札の結果、「株式会社日本経済研究所」が570万円で落札していました。ちなみに、この入札にはトーマツは参加していなかったようですが、プライスウォーターハウスクーパース株式会社が750万円で入札に参加していました。
では「IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討調査(その2)報告書」を有限責任監査法人トーマツがいくらで落札したのかですが、落札額は5万7240円でした。ちなみに新日本有限責任監査法人と有限責任あずさ監査法人も入札に参加しており、新日本有限責任監査法人は285万円、有限責任あずさ監査法人は360万円で入札していました。
有限責任監査法人トーマツの入札金額は他の2法人と2桁ことなりますが、5万円という区切りのよい金額ではなく、5万7240円というあたりできちんと考えた感を漂わせています。実際、上記の記事によると”本誌の取材に対して、トーマツは「(落札額は)社内ルールに従って算出している」と答えた”とのことです。
実際にできあがった報告書はこちら(横浜市のHP)で確認できますが、全175ページに及ぶ報告書となっています。デロイトは世界の大手カジノ12社のうち半数の監査業務を担当しているとのことで、カジノに関する情報を収集しやすいため他の法人よりも安く受注できるという側面はあるようです。
ちなみに14年度のに東京都が発注したカジノ市場調査もトーマツは9万7000円で落札したという実績があります。横浜市の報告書をざっとみても、横浜特有の部分はそれほど多くないようなので、他で作った資料のコピペで安くできるというのも理解できます。
納税者という立場からすれば、入札額は安い方がよいとは思いますが、それにしてもこれはやり過ぎでしょう。この価格でいいなら、カジノを誘致したら良さそうな都市毎に勝手にレポート作って公開しておけばよいのになと思います。
仕事はきちんとやるけど報酬はいらないということであれば、監査報酬も安くしてもらえるといいんですが・・・