販売奨励金と販売手数料はどう違う?
消費税の取り扱いを考えていてふと気になったのが、販売奨励金と販売手数料はどうちがうのだろうかということです。
簡単なようで、よく考えると違いはなんだというのがよくわからなくなるということはあります。
消費税における取り扱いとして、販売奨励金については、消費税法基本通達14-1-2において以下のように記載されています。
(事業者が支払う販売奨励金等)
14-1-2 事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する。
つまり消費税法上、販売奨励金については、売上に係る対価の返還等として課税売上割合の計算上、課税売上から控除されるという取り扱いとなります。
会計上も、リベートとか売上割戻というのは、売上から控除することとされていますので、この取り扱いに違和感はありません。
では、販売手数料はどうなるのかですが、直感的には費用として処理し、消費税の取り扱いも課税仕入として処理すると考えられます。ただ、販売手数料も販売数量とか販売金額に応じて支払われるものであり、「販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に対して金銭により支払う」という点では同様なので、会計上の処理はともかくとして、もしかして消費税の取り扱いは販売奨励金等として取り扱われるのかという点が問題となります。
結論としては、やはり販売手数料は費用として課税仕入として取り扱われると考えられます。
両者の違いは何かと考えると、大きく以下の二つの違いがあると考えられます。
第1に、販売手数料は通常、取引は会社と顧客の間で成立し、その取引を成立するために尽力した仲介業者に対して支払われるのに対して、販売奨励金は会社が商品等を販売している販売代理店や小売業者に対して支払われるものであるといえます。つまり、売上という観点でみると、販売手数料の支払先に対しては販売手数料の支払対象となる取引の売上が計上されないのに対して、販売奨励金の支払先にはその支払い対象となる取引の売上が計上されているという点が異なるといえます。
第2に販売奨励金は+αのおまけであるに対して、販売手数料はそれ自体が取引先の収益であるという点で異なります。
ただし、一つ目の点については、上記基本通達の括弧書きにおいて「課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む」とされており、いわゆる飛び越しリベートも販売奨励金等として取り扱われるとされている点には注意が必要です。
また、二つ目の観点で基本通達を読み直すと「事業者が販売促進の目的で」、「販売数量、販売高等に応じて取引先」に支払うのが「販売奨励金等」とされていることから、より販売量(金額)を増加させるために追加で払うものが販売奨励金等に該当し、取引が成立したことの直接の対価として支払われるのが販売手数料と整理できそうです。