2017年監査での課徴金トップ5など
経営財務3341号の【海外トピックス】において「2017年のトップ5(監査及び税務)、2018年の経営者懸念、その他」という記事が掲載されていました(公認会計士 飯田信夫 氏)。
この記事によると2017年の監査事務所に対する課徴金支払請求のトップ5は以下のとおりであったとのことです。
①RSM Tennonの監査
PwCの監査(2011年6月末事業年度)に不備があったとして、英国FRC(財務報告評議会)が510万ポンド(約7.7億円)の課徴金を課したとのことです。
②Connaughtの監査
PwCの監査に不備があったとして、英国FRCが5百万ポンド(約7.6億円)の課徴金(責任者にも課徴金あり)を課したとのことです。FRCが2009年度の財務諸表について調査したところ、長期契約及び無形資産に関連する不適切な会計処理を発見したとされています。
①にしても②にしても随分前の財務諸表に対して多額の課徴金が課せられているというののが興味深いところです。
③Miller Energyの監査
KPMGの監査に不備があったとして、米国SEC(証券取引委員会)が620万ドル(約7億円)の課徴金(責任者にも課徴金あり)を課したとのことです。これも2001年の財務諸表で資産の過大計上を行っていたという、随分前の財務諸表に対するものとなっています。
④Tech Dataの監査
上記3件と比較するとここから課徴金の金額が小さくなりますが、EYの監査に不備があったとして、英国FRCは180万ポンド(約2.7億円)の課徴金(責任者に対する課徴金もあり)を課したとのことです。十分な監査証拠を入手せず、専門家としての懐疑心を欠いて意見表明を行っていたと記載されています。
⑤Merill Lynchの監査
PwCの監査に不備があったとして、米国PCAOB(公開会社会計監査委員会)が100万ドル(約1.1億円)の課徴金を課したとのことです。監査人は、同社の監査にあたって、顧客保護に関する規則に準拠しているかどうかを適切に監査していなかったとされています。
上記の課徴金の事例を見ると、東芝の一件で金融庁が新日本監査法人に課した課徴金約21億円というのは結構大きな金額だったのだなと改めて感じました(一般的な感覚としてはもっと取れという感じだったと思われますが・・・)。
また同記事において2018年の経営者懸案事項としてリスクのトップ10として以下の項目が掲げられていました。なお、下記は728名の取締役及び経営者によるグローバル調査の結果とのことです。
- 破壊的革新が急速度である
- 変化への抵抗
- サイバー脅威への対抗
- 規制の変革及び規制強化
- リスク問題に適時に対応するような企業文化を築きにくい
- 継承問題と人材確保
- 個人情報管理とデータセキュリティ
- 自社が属する市場での経済環境の悪化
- ビッグデータによる生産性及び効率性の増加
- デジタル、低コスト競争
上記については、日本においてもあまり変わらないのではないかと思います。さて、どんな1年になることやら・・。