MNPによる他社への乗換えでも自動解約の可能性あり
以前”電話加入権は休止状態から10年で自動解約されるそうです”で税務通信で紹介されていた記事を取り上げましたが、税務通信3516号の税務の動向に「利用休止から10年後の自動解約される電話加入権に改めて注意」という続報記事が掲載されていました。
電話加入権の自動解約の仕組みについて改めて確認しておくと、「NTT東日本における電話回線の利用契約の“自動解約”は、契約者(企業)側から利用休止(回線使用料等が無料)の申出があった場合において、5年間利用休止状態となり、その後、再利用の申出等がなければ、さらに5年間の利用休止が継続し、利用休止の申出から合計10年経過した時点で行われる仕組」みになっているとのことです(税務通信3495号)。
NTTの電話回線を利用休止した場合には、利用休止の年月日が記載された「利用休止のお知らせ」が交付されることですが、その後は特に利用者側へ通知されることなく自動解約されるため、「自動解約されている事実や、そもそもいつの時点から電話回線の利用を休止しているのか把握できないことが多い」とされています。
なお、税務通信の記事によれば、NTT西日本では、自動解約される仕組みはないとのことです。
そして、「いわゆるMNP(ナンバーポータビリティ)により、NTT東日本の電話回線から「他社のインターネット回線」に乗り換えた場合でも、その電話回線が利用休止状態であれば、10年後に自動解約される可能性がある」とされています。このようにNTTから他社に乗り換えている場合は、比較的把握しやすいと思いますが、上記記事で取り上げられていたのは「MNP(ナンバーポータビリティ)により、電話番号を変更しないまま、NTTの電話回線(アナログ回線)からNTTのインターネット回線(光回線)に切り替えた場合」とされています。このケースでは、NTTに対してインターネット回線の利用料の支払いが継続しているため、「うっかり電話回線の利用休止を失念してしまう可能性が高い」とされています。確かに、NTTの回線を継続して使っていると思い込んでしまう可能性がありますので、改めて確認してみる必要がありそうです。
少なくとも、NTTから他社に乗り換えており、BSに電話加入権が残っているような場合には、電話加入権の除却損を解約事業年度で損金算入するためにも、いつから利用休止になっているのかを確認しておく必要があります。
最後に、電話加入権の東京都における平成30年分の相続税評価額は「1,500円」となっているとのことですが、「電話加入権の価値の下落は,インターネット回線の普及等に伴うものであるため, 法人税法施行令68条 1項3号に掲げられる「物損等の事実」のいずれにも該当しない」ため価値は大幅に下落していますが法人税法上評価損の計上は認められないとされています。