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出る杭はもっと出ろ!

攻めのIT経営銘柄が攻めすぎた件

「攻めのIT経営銘柄」をご存じでしょうか。「攻めのIT営銘柄」は経済産業省が平成26年度から東京証券取引所と共同で選定しており、2018年5月30日に「攻めのIT経営銘柄2018」が公表されています。

選定対象企業は、「中長期的な企業価値の向上や競争力の強化といった視点から経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業」として東京証券取引所の上場企業の中から選出されています。

2018年の選定企業は32社で、3000社を超える上場企業の中から選出されている中からの32社なので、選出されるのはすごいことだと思われます。

32社の一部を紹介すると、大和ハウス工業、富士フイルムホールディングス、ブリヂストン、IHI、日立製作所、ヤフー、三井物産など、名前を見れば知っているという有名企業がほとんどとなっています。

そして上記32社の企業の中のある企業が直近で開示した業績は以下のようになっています。

上期の売上が373億円、営業利益が23億円と上記で紹介した他の選出企業と比べると随分規模は異なりますが、売上は前年比41.2%増、利益も約20%増とさすが「攻めのIT経営銘柄」というような結果となっています。

ところが、ITに注力するあまり脇が甘くなったのか、アナログな攻め方をまちがってしまったようで、本日時点で3営業日連続のストップ安になってしまいました。

ピンときたかも多いかもしれませんが、上記の会社は東証一部に上場している「株式会社TATERU」です。少し前にスルガ銀行の一件が問題となりましたが、2018年8月31日に同社でも建設資金の借り入れ希望者の預金通帳を改ざんし、銀行に融資の申請をしていたと報道されました。同社もこれが事実である旨を開示しており、昨日、本件に関する特別調査委員会を設置する旨を公表しています。

日経新聞電子版(2018年9月1日)の記事(「アパート施工のTATERU、融資資料改ざん スルガ銀不正に類似」)では以下のように報道されています。

(一部抜粋)
 会社員はTATERUから名古屋市内で木造3階建て、全9戸のアパート物件を紹介された。土地・建物で約1億1000万円の購入資金は山口県の西京銀行の融資を利用し、自己資金がなくてもアパートを経営できるとの提案を受けた。
 その際、西京銀への融資申請で必要な預金残高を示すインターネットバンキングの履歴データをTATERUの担当者に渡した。預金残高は約23万円だったが、担当者は「それで問題ない」と返答したという。その後、この担当者から融資の承認がおりたとの連絡があった。会社員は6月、西京銀に直接、TATERUの担当者が提出した自分の預金残高を示すデータの開示を要求。残高は約623万円に水増しされていたという。

スルガ銀行もシェアハウス関連融資問題が発覚後、株価は右肩下がりで下落し1月時点の1/4位程度まで下落しているということからすると、PER100倍以上で評価されていた同社の株式が下がるというのは理解できます。また、規模面でみても売られやすいというのも理解できますが、現時点での株式売買の受給状況を確認してみると以下のようになっていました。

このギャップを埋めて値がつくのはいつになるのだろうかという位、現時点では差があります。融資のための書類改ざんは問題ではありますが、売り方が激しすぎる気がして、もう少し確認してみると、同社は今年4月に海外募集による新株発行で結構な金額の資金を調達していることがわかりました。

主幹事証券は大和証券で、発行価格は1株1,951円、調達額は約138億円です。この株主は怒り狂っていることが予想され、損害賠償請求も当然予想されます。ただし、6月末の同社の現預金残高は約188億円と調達した金額はほとんど手付かずで残っており、即終了という状況ではないと思われます。

結局のところ、書類を改ざんして融資を受けさせた物件がきちんとしたキャッシュ・フローを生むものであるのかどうかが運命を分けることになるのでは思われます。子会社のTATERU Fundingが「甘い言葉にだまされない!不動産投資の被害に遭わないためには?」という記事を掲載していますが、果たして同社の実態はどうなのかは今後の報道が待たれます。

果たしていつ普通の売買が整理するのか明日以降の状況もチェックしたいと思います。

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