上場会社が臨時株主総会を開いてまで監査等委員会設置会社に移行したい理由はなんだろう?
昨日(2019年9月20日)に東証マザーズに上場しているログリー株式会社が「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」という適時開示を行っていました。
最近のIPO銘柄で名前を見た記憶があったので、確認してみるとやはり2018年6月20日に上場した会社であることが確認できました。
同社は3月決算で2018年3月期の株主総会は6月28日に開催され、有価証券報告書が6月29日にEdinetに提出されていますが、3月末では上場前のため株主数は18名となっています。
監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行するのは、珍しいことではありませんが、定時株主総会で決議されるのが通常で、臨時株主総会を開いてまで移行した事例は珍しいのではないかと思います。他に該当する事例を適時開示から検索してみましたが、同社の他には見当たりませんでした。
同社は同日付けで「取締役辞任に関するお知らせ」で社外取締役1名の辞任(主要株主からの社外取締役であり、有報から無報酬であったものと推測されます)を公表していますが、社外取締役が2名いたため1名は残っていますし、取締役の員数も4名で特に問題はありません。
にもかからわず、コストをかけて臨時株主総会を開催までして監査等委員会設置会社に移行しなければならない理由が何かあるのだろうかと気になります。
適時開示資料上、移行の目的については「議決権を有する監査等委員である取締役により構成する監査等委員会を設置し、取締役会の監査・監督機能を一層強化することで、コーポ―レート・ガバナンスの更なる充実を図るとともに、経営における意思決定の透明性と機動性の向上を目指すものです。 」と、当たり障りがないことが書かれているのみとなっています。
まず、東証1部へできるだけ早く市場変更したいが、社外取締役をもう1名選任したくないので、監査等委員会設置会社へ移行したいものの、次の総会で機関設計を変更するとすると市場変更が遅れるため、臨時株主総会で変更してしまいたいということが考えられます。
次に、辞めさせたい役員がいる、あるいは辞めたいという監査役がいて辞められると監査役を改めて選任しなければならないからという可能性も考えられます。監査等委員会設置会社への移行すると、取締役及び監査役の任期はその時点で満了となり、改めて選任が必要となるので、そこで除外する、あるいは新たな候補者を選任するということが考えられます。
また、「定款変更の内容及び役員等を含む以降の詳細につきましては、現時点では未定であり、今後具体的に検討してまいります。詳細につきましては決定次第お知らせいたします。」とされているので、監査等委員会設置会社への移行は主目的ではなく、総会で決議しなければならない他の事項があり、とりあえず臨時株主総会の開催をアナウンスしたということも考えられます。
可能性は限りなく低いですが、単に上場後初めての株主総会をやってみたかったということもあるかもしれません。
とりあえずは、総会で決議される事項が何なのかをウオッチしたいと思います。