3月決算のGC注記社数が減少傾向
T&A master No.754に平成30年3月決算会社のGC注記についての記事が掲載されていました。
同記事によれば、平成30年3月期にGC注記が記載されていたのは18社とのことです。同誌ではGC注記について度々取り上げられていますが、3月決算でGC注記が20社を切ったことがあったかなと数年間遡って調べてみると、以下のように推移していました(いずれもT&A master誌調べ)。
平成29年3月期 21社
平成28年3月期 25社
平成27年3月期 25社
平成26年3月期 26社
平成25年3月期 33社
平成24年3月期 40社
平成30年3月期で20社を切った社数となっていたため目に止まりましたが、こうしてみると、GC注記が記載されている社数が随分減ったことがわかります。上場廃止により減少してるものもあると思いますが、ここ3年順調にGC注記社数が減少しているのは、景気が悪くないということの現れなのかもしれません。
また、平成30年3月期に新たにGC注記を記載したのは省電舎ホールディングス、日本海洋掘削(7月23日上場廃止)、中央化学、フルッタフルッタの4社とのことです。逆に言えば、残りの14社は昨年から継続した注記となっており、複数年にわたって注記が付されることが多いというのもGC注記の特徴といえます。
中でも、ジェイ・エスコムホールディングス(JSQスタンダード、アスカ監査法人)は13期連続でGC注記が掲載されています。ここまで継続すると意味があるのかなという感じがしますが、直近の有報では以下のように注記されています。
(継続企業の前提に関する事項)
当社グループは、当連結会計年度におきまして営業利益73,086千円及びプラスの営業キャッシュ・フロー194,480千円を計上いたしました。しかしながら、前連結会計年度まで継続して営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上していることから、本格的な業績回復と黒字化した収益状況の継続性について確認できるまでには至っておりません。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社は当該状況を解消すべく、策定した2018年度の事業計画に沿って、引き続き収益体質及び営業キャッシュ・フローの改善をするための対応策を講じて参ります。具体的には、通信販売事業及び理美容事業において新規商品の展開及び販路の拡大等を行うことにより、継続的な営業黒字を計上できる体制構築を目指して参ります。
財務面につきましては自己資本比率が52.0%となり、引き続き財務内容を改善していく必要性について認識しております。当社が財務内容を改善していく方策としては、新たに開始した通信販売事業を当社グループの主要事業として既存事業を含めた収益を拡大することで、収益体質の改善に注力して参ります。
しかしながら、理美容業界は他業種参入による競争激化により企業業績に関する不透明な状況は継続しており、出版関連事業においては業界自体が成熟傾向であります。また、通信販売業界においても業界内の競争が激しいため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると判断しております。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表には反映しておりません。
営業利益を計上し営業CFもプラスとなり、自己資本比率も52%という状況であれば、そろそろ注記がとれてもよさそうですが、12年も連続してGC注記が付されていると、この程度ではまだ早いということなのでしょう。今年度末に無事GC注記を卒業できることを祈ります。
最後にGC注記が付されている会社の監査法人はどこが一番多いかについてです。個人的には中小監査法人のうち小規模よりの監査法人が多いと想像するのではないかと思いますが、平成30年3月期ではトーマツが6社で1/3を占め、これにあずさが3社、アヴァンティア、元和、アスカ各2社と続いています。
上記のとおり一度注記されると継続される傾向にあるため、ある意味当然ではありますが、平成29年3月期はトーマツ8社、あずさ2社となっており、平成28年3月期はトーマツ6社、新日本4社、あずさ2社となっています。
大手監査法人のトーマツが継続してトップとなっているというのは意外な感じもしますが、GC注記が付くのは当然会社も嫌がると考えられますので、逆に大手でないときちんと主張できないのかもしれません。