マンション販売に関する仕入税額控除否認に対し、エーディーワークスが審査請求-これで駄目ならもう駄目か
以前”ムゲンエステートに続きエーディーワークス(東一)が仕入控除否認で不服申立へ“で記載しましたが、収益不動産賃貸・販売事業を営む株式会社エーディーワークス(東証一部)が、2018年9月28日に「過年度消費税に関する更正通知書受領(2018年7月31日)」に関する事後の諸対応の進捗に関するお知らせ」という適時開示を行いました。
2018年7月31日付で公表した「過年度消費税相当額等の引当てに伴う特別損失の計上に関するお知らせ」に関連して、その後の進捗等について述べられています。
進捗に関連する部分を抜粋すると以下のとおりです。
2018年7月31日付の公表資料において表明したように、当社といたしましては従前の税務処理は適切であると考えており、更正通知に対する不服申立ての手続きを採るべく検討をしてまいりました。
その手続きの第一弾といたしまして、森・濱田松本法律事務所の大石篤史弁護士他を当社の代理人として選定のうえ、2018年9月13日付で国税不服審判所長に対し、更正処分の取消しを求める審査請求を行いました。
なお、本件審査請求の進捗を注視しながら、訴訟の提起も視野に入れた準備を並行して進めております。
上記で目に付いたのは、代理人として選定されていた森・濱田松本法律事務所の大石篤史弁護士です。
この大石弁護士は、マンション販売に関連する仕入税額控除の否認事案に関連して、T&A master誌において税理士の朝長英樹氏と4回に渡り対談を行っていました。
この対談において大石弁護士は以下のように述べています。
本件の課税に関しては、経済実態に全く即しておらず、結果が妥当でないことが明らかである、と考えています。この課税だけが原因で、事業の存続が困難になってしまっているところもあると聞いており、その社会的な影響も大きいと思います。
一方で、朝長税理士は以下のように述べています。
実は、本件の課税に関しては、私は、国税当局が「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」の解釈の誤りに気付いて既に課税を行ったものについて課税の適否を見直すのではないかと期待していたのですが、残念ながら、そうはならず、更なる課税も行っていくということのようですから、これからは、このような課税を始めるのはおかしいという根拠を具体的に示して踏み込んだ指摘をしていくしかない、と考えているところです。
この対談中で、朝長税理士は過去の経緯を踏まえた法令解釈を示されており、それらを踏まえた上での審査請求、及び訴訟へと展開されていくと思われます。
そういった意味で、これで取扱いをひっくり返すことができなければ、今後取扱いが変わる可能性が低く、今後の動向に注目です。