金融庁が申請不要で有価証券報告書等の提出期限を延長
数日前に”会計士協会、有報提出期限の一律延長等を提案”で会計士協会が現在の新型コロナウイルス感染拡大を受けて声明を公表し、その中で「諸外国における措置と同様に、金融商品取引法に基づく有価証券報告書の提出等について、その期限を一律に延長することが可能となる対応及び会社法に基づく定時株主総会の開催時期(特に、計算関係書類の報告期限)についても、一律に延期することが可能となる対応が必要と考えます。」と述べていた旨を取り上げましたが、本日金融庁から「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえた有価証券報告書等の提出期限の延長について」が公表され、申請不要で有価証券報告書等の提出期限が延長されることとなりました。
具体的には以下のとおり記載されています(一部抜粋)。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されました。これに伴い、今後、3月決算企業をはじめとする多くの企業において、決算業務や監査業務を例年どおりに進めることが困難になることが想定されます。
こうした状況を踏まえ、企業や監査法人が、決算業務や監査業務のために十分な時間を確保できるよう、金融商品取引法に基づく有価証券報告書等(注)の提出期限について、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等を改正し、企業側が個別の申請を行わなくとも、一律に本年9月末まで延長することとします。
(注)有価証券報告書のほか、四半期報告書、半期報告書及び親会社等状況報告書を想定しています。
「有価証券報告書等」には四半期報告書や親会社等状況報告書も含まれるため、今まさに決算作業を進めている最も社数が多い3月決算会社のみならず、6月・9月・12月決算の四半期報告書も提出期限の延長が認められることとなります。
海外子会社等の決算状況のみならず、在宅勤務者が多くなっていることにより決算作業が効率的に進められないということも想定されるため、一律に提出期限を延長するという決定は歓迎です。
あとは株主総会の開催時期についても、一律に延長することができるような特例が認められるのかですが、法務省は2月に基準日を変更することによって総会の開催時期を変更することができる旨を公表していますので、基準日を変更せずに一律に開催時期だけの延期が認められる可能性は高くはなさそうです。
本日、昨日と決算発表の日程を延期する旨の開示も多く行われているものの、4月中に開示予定であったものを5月中旬に延期するというものが多いようです。ざっとみた感じでは、決算発表を6月以降の日程としている会社はありませんでしたが、富士電機株式会社では、4月下旬に予定していた決算発表について、「現時点で未定であり、確定次第速やかに公表する」としています。同社では、インド、マレーシア等の連結子会社の決算・監査手続きに遅れが生じているとしています。
金融庁が提出期限を延長を公表したことによって動きに変化が生じる可能性はあるものの、なんだかんだいっても大部分の会社は通常の期限通りに提出するのではないかという気がしてしてしまうところが、無理して決算作業をすすめることにつながっている気がします。