2021年3月期における法人税の誤りやすいポイントとは?
T&A master No.877にニュース特集として”令和3年3月期における法人税の誤りやすいポイント”という記事が掲載されていました。
税務申告ソフトを使用していると、ソフト側で間違えないようになっているのではないかという項目も多いように感じましたが、取り上げられていた事項のいくつかを紹介します。
1.所得拡大促進税制で役員等の給与を除外していない
所得拡大促進税制の適用および控除税額の算定にあたり給与総額から役員の報酬を除外するという点は、ほぼ間違えないのではないかと思いますが、「使用人兼務役員を含む役員及び役員の特殊関係者に支払った給与等」を除外するのを忘れる、あるいは使用人兼務役員の使用人給与分のみ考慮してしまうというようなことはありえるかも知れません。
「特に役員の特殊関係者(親族等)の給与等を含めたところで計算している事例が多いということだ」とされています。たしかに、社内の役員の親族等をきちんと把握した上で、除外するというのは容易なようで実際にはそれほど容易ではなかったりすると思います。
また、会社法的な観点での役員報酬というものが頭にあると、使用人兼務役員の使用人分は含めると考えてしまうということもありえますので注意しましょう。
2.資本金の額要件を充足していないのに中小企業投資促進税制を適用している。
これは申告ソフトを使用していると、自動的に適用対象外になるのではないかという気がしますが、資本金の額等が3000万円を超えているにもかかわらず、中小企業投資促進税制を適用している誤りが見受けられるとされています。
また、大規模法人の子会社についても同制度の適用対象外となるが、適用して申告している事例もあるとのことです。どちらかいえば、こちらの方が間違えそうな気がします。
3.みなし大企業が中小法人の特例を適用している
資本金等の額が1億円以下の法人であっても、発行済株式等を同一の大規模法人に1/2以上保有されている、又は複数の大規模法人に2/3以上保有されている法人については、中小企業者の範囲から除外されますが、これを失念しているケースがあるとのことです。
みなし大企業に当たる場合、以下を適用することができません。
➀法人税の軽減税率
②貸倒引当金の損金算入
③欠損金等の繰越控除の控除限度額
④欠損金の繰戻しによる還付
⑤交際費の定額控除限度額
4.益金不算入対象とならないものを益金算入の対象としているケース
➀公社債の利子の額
②公社債投資信託等、MMF(追加型公社債投資信託)、J-REIT(不動産投資信託)等の証券投資信託の収益の分配の額(外国株価指数連動型特定株式投資信託以外の特定株式信託の収益の分配の額を除く)
③オープン投資信託の特別分配金の額
④外国法人、特定目的会社、投資法人から受ける配当の額
⑤匿名組合契約に基づいて受ける利益の分配の額
については受取配当等の益金不算入の対象とならないにもかかわらず、これらを益金不算入の対象としている事例が例年見受けられるとのことです。
実際一般の事業法人が投資していることはそれほど多くないのではないかと思いますが、J-REITや外国法人から配当については、うっかり益金不算入の対象に含めてしまうということがありえるかもしれませんので注意しましょう。