令和4年度税制改正で少額固定資産の損金算入制度が見直し?
税務通信3686号の税務の動向に「令和4年度税制改正のポイント② 法人課税関係(2)」が掲載されていました。
上記の記事ではいくつかの項目が取り上げられていましたが、その中で目についたのが「少額減価償却資産の損金算入制度を利用した節税スキームを封じる措置」というものです。
ここでいう節税スキームについては、具体的に記載されていませんが、「展望」に記載されていた内容によると「事業者の間でのドローン等を利用した節税策を封じる少額減価償却資産の見直し」とされていますので、そのような取引が横行していたことによるもののようです。たしかに、課税所得を何とか圧縮したい(繰延べたい)といった場合、10万円未満の減価償却資産(PC、ドローンなど)をまとめて購入したいけど支払は分割で行いたいというような事業者がみつかれば、購入したものをレンタルするというような建付で課税の繰延は可能かもしれません。
上記のような節税を封じるための改正内容としては、対象資産から貸付けの用に供したものを除外する(主要な事業として行われるものを除く)とのことです。
より具体的には以下のとおり対象資産の見直しがなされるとのことです。
➀少額減価償却資産(10万円未満又は使用可能期間が1年未満)の取得価額の損金算入制度( 法令133 )
→対象資産から 取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものを除外する。
②一括償却資産の損金算入制度( 法令133の2 )
→対象資産から 減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したもの を除外する。
③中小企業者等の少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入の特例( 措法67の5 )
→対象資産から 減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したもの を除外し,適用期限を2年延長する。
いずれも「主要な事業として行われるものを除く」とされているので、10万円未満の減価償却資産であっても貸し付けることが主要な事業であるのであれば従来通りの取扱いとなりますが、節税を目的としていなくとも、対象となりうるような取引が存在し、それが「主要な事業として行われるもの」といえるのかが微妙というような場合は注意が必要だと考えられます。