四半期開示の議論再開(第1回DWG)
2022年10月5日に2022年度のディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)の第1回会合が開催され、四半期開示の議論が再開されたそうです。
経営財務3575号「金融庁 四半期開示の議論再開、開示内容や保証が焦点」によると、”前回のDWGで金商法上の四半期開示義務(第1と第3四半期)を廃止し、四半期決算短信に一本化する方向になったことを受け、その具体化に向けた”四半期に関する主な課題は以下の6つとまとめられています。
①四半期短信の義務付けの有無
②適時開示の充実
③四半期短信の開示内容
④四半期短信の監査人によるレビューの有無
⑤四半期短信の虚偽記載に対するエンフォースメント
⑥半期報告書・中間監査のあり方
上記の6つの課題に対して第1回会合で聞かれた意見等として以下の内容が紹介されていました。
①四半期短信の義務付けの有無
”投資家・アナリスト等からは「四半期短信は企業の中長期的な経営の進捗確認として必要」と、引き続き義務化を求める意見が目立った。”
投資家・アナリスト等から短信の義務化継続を求める声が多いというのは予想通りですが、個人的には任意としても、株主を意識している会社は開示を継続すると思いますし、投資家・アナリストの評価が低くなって株価が下がるのであればやはり開示は継続されると思いますので、実質的に大きな問題はないような気はします。
②適時開示の充実
これは「積極的かつタイムリーな開示が行われているとは言い難い」との認識から、「好事例の公表など取引所の取組みによる開示実務の促進などについて意見」が募られたとのことです。
③四半期短信の開示内容
四半期報告書を短信に一本化する場合、短信に記載すべき情報量が焦点になるところ、企業側からは、”「速報性の観点から現行を基本とし、要望が大きいものは任意開示で対応を」との声があった”とされている一方、”「CFやセグメントなどは短信でも開示してほしい。それ以外の非財務情報等は重大な変化があった場合、適時開示や臨時報告書で対応すればいいのでは」との指摘が出ていた”とのことです。
現状の短信や四半期報告書でも、記載が要求されている項目に対して記載内容の質は結構差があるように感じますので、これも個人的には、各社が投資家等との対話を通じてニーズが高いと思われる情報を織り込んでいけばよいのではないかという気がしています。
④四半期短信の監査人によるレビューの有無
これは実務的には最も気になる部分だったりしますが、”監査人の委員は「財務情報の公表を義務付けるなら、レビューも義務付けるべきだ。適正財務報告のアカウンタビリティを果たしたい企業にとっては、独立監査人のレビューを受けるメリットがあり、資本市場の信頼性確保や投資家保護にもつながる」と指摘した”とのことです。また、”他の委員からは「仮に義務付けないならば企業の任意でレビューを受けることができるように」との声も”あったようです。
「財務情報の公表を義務付けるなら、レビューも義務付けるべきだ。」ということですが、公表を任意にして、レビューも任意にすればよいのではという気がします。義務化するのであれば、それこそ会社法監査のように一定の基準を設け、例えば時価総額1000億円以上の会社等の基準で義務かすればよいのではないかと思います。あるいは、よくIFRS任意適用企業が時価総額のかなりの割合を占めると出ているので、IFRS任意適用企業+時価総額一定額以上会社というような基準でもよいかもしれません。
⑤四半期短信の虚偽記載に対するエンフォースメント
この点については、”委員からは業績予想の重要性を踏まえ、「取引所の枠組みで十分ではないか」などの声が多くあった”とのことです。
⑥半期報告書・中間監査のあり方
”半期報告書(第2四半期)の開示内容については「現行の第2四半期報告書の水準と変える必要はないのではないか」といった声が聞かれた”とのことです。また、”中間監査については国際的な整合性の観点などから反対の意見が多い”とのことです。
中間監査の復活がなさそうというのは以前とりあげたとおりで変更はなさそうです。
今後も議論の成り行きを確認してきたいと思います。