3月決算会社の1Qで売上が増加した2業種とは?
経営財務3470号のニュースに「本誌調査 第1四半期・業種別売上高の状況」という記事が掲載されていました。
経営財務誌が3月決算会社の上場2,235社の第1四半期決算短信から各社の売上高の増減(前年同期比)を調査したところ、33業種のうち2業種だけ前年同期比プラスとなっている業種があったそうです。
個人的には医薬品と情報・通信業の二つかなと思いましたが、医薬品(39社)は前年同期比△2.56%、情報・通信業(209社)は前年同期比△3.00%と、この状況下で善戦している業種といえると思いますが、いずれもマイナスとなっていました。
最も減少率が大きいのは、想像どおり空運業(4社)△75.67%で、業種別にみると50%以上下落しているのは空運業のみとなっています。
次いで下落率が大きいのが輸送機器(82社)△42.11%で、石油・石炭製品(8社)△35.47%、鉱業(4社)△33.41%、ゴム製品(13社)△31.89%、陸運業(63社)△31.40%と続いています。3割を超える下落となっているのは以上の業種のみとなっています。
では、このような中、前年同期比で売上高がプラスになったのはどの業種かですが、答えは保険業とその他製品の2業種とされています。
保険業(12社)が前年同期比1.69%増と増加率が最も大きく、その他製品(55社)が1.63%増となっています。ただし、その他製品は55社中49社が前年同期比マイナスで、平均増減率は△13.31%となっていますので、プラス方向の異常値が存在したことによって全体としてプラスとなっているということのようです。
一方、保険業は12社中マイナスは3社のみで、平均増減率も11.00%増となっていますので、こちらは全体でみた1.69%よりも堅調に推移している会社が多かったということだと考えられます。
なお、情報・通信業は209社中マイナスとなっているが96社で半分以下となっており、平均増減率は3.01%増とプラスとなっていることから、コロナ禍での情報通信投資により業績が好調に推移しているという会社も相当数あることが窺えます。
平均増減率がプラスとなっているのは、上記の他、証券、商品先物取引業(31社、うちマイナス11社)14.62%増、そのた金融業(27社、うちマイナス7社)7.90%増、水産・農林業(6社、うちマイナス3社)0.17%、不動産業(54社、うちマイナス32社)17.32%増となっています。
不動産業は全体では前年同期比△6.94%となっていますが、平均増減率では17.32%と全業種の中でもっとも高くなっています。コロナ禍で不動産取引が一時止まっていたであろう時期であることを考えると意外でした。
全体では2235社中1614社が売上について対前年同期比マイナスとなっており、このうち375社は売上が30%以上減少しているとのことですので、全体としてはかなり厳しい状況にあるといえそうです。上場会社は、比較的内部留保を充実させていた会社も多く、中小零細企業と比べれば資金調達余力もあると考えられますので、なんとか当面を乗り切れるとしても、中小企業の状況は相当厳しいのではないかと推測されます。