主婦年金免除基準引き下げを検討?
今日(2011年9月1日)の読売新聞朝刊1面に「主婦年金免除基準下げも」という記事が載っていました。
記事によると政府は国民年金保険料の支払免除の年収基準を現行の年収130万円から引き下げることを検討する方針を決めたとのことです。
加えて、厚生年金への加入の判断基準となっている「週30時間未満」も見直しを検討するとのことでした。
目的は、主婦の厚生年金への加入を増やして老後の保障を手厚くするということと専業主婦を優遇しすぎているという不公平感の是正としています。そして、厚生年金については、労使折半のため多くのパートを抱える流通・外食産業などの反発が予想されると締めくくっています。
今日の社会保障審議会で議論されたとのことで、日経新聞のWEB版には以下のような記事(一部抜粋)がでていました。
「厚生労働省は野田新首相の誕生を受け、社会保障改革の具体化に着手した。政府が6月にまとめた社会保障と税の一体改革を受けたもので、年金、医療、介護の制度設計を年末までに詰める。焦点は、非正規労働者を会社員と同じ厚生年金や企業健保に入れるための条件見直しだ。現状の「週30時間以上働いている人」を「週20時間以上」に広げることを軸に検討する。
厚労省は1日、社会保障審議会の特別部会を開き、厚生年金や企業健保の適用拡大について議論を始めた。関連法案を来年提出する予定だ。
労働時間の見直しに伴い、夫が会社員や公務員の専業主婦を指す「第3号被保険者」と認定する基準を、今の年収130万円から引き下げることを議論する。また、厚生年金保険料の算定に使う基準となる標準報酬の下限を月額9万8000円から引き下げることも検討する。」(日経新聞WEB版 2011年9月1日)
少子高齢化の影響で今後さらに社会保障費が増加していくことが予想されるので年金に限らず、健康保険料についても被扶養者(特に専業主婦)は狙い撃ちされることが予想されます(例えば専業主婦や18歳以上の被扶養者は自己負担割合を5割にする等)。
上記の報道では、老後の保障を手厚くするというようなことも書いてありますが、これはかなり胡散臭い理屈だと思います。
年金財政や健康保険の財政が逼迫してきているため保険料を増加させたいというのが本音でしょう。ここで確認しておきたいのは、現在の年金は世代間扶養の仕組みになっているという事実です。
なんとなく年金の保険料を納めているのでその保険料を運用して将来の年金の原資としているというイメージがありますが、現役世代が納めた保険料を原資に現在の年金の受給者に年金を支給しているというのが実態に近い形です。
今後、高齢化が進んで年金の支給が増え、保険料の増加は見込めません。そうすると年金の破たんが連想されますが、この点については破たんはあり得ないはずです。というのも、今の年金の制度はマクロ経済スライドといって、簡単に言えば破たんしない範囲で給付額を調整する仕組みが取り入れられているためです。
したがって、現在国民年金を満額受給できる人は年間80万円位をもらえますが、この金額を将来受給できるかどうかはわかりませんがいくらかはもらえることになると考えられます。
少し話がそれましたが、老後の保障を手厚くするという理屈は、世代間扶養の考え方をとっている以上、将来世代がどれくらい保険料を納めてくれるかに大きく依存することになるはずなのでかなり疑問を感じます。
むしろ今保険料を多く徴収されたうえ、将来受給される年金額も今よりも下がるという可能性を危惧します。
特に日本では65歳以上の高齢者が金融資産の多くの部分を占めると言われています。もちろん裕福な方ばかりではないと思いますが、年収300万円あるいは200万円時代と言われる若年層と比較すれば相対的には裕福といえるのかもしれません。
若者はあまり選挙に行きません。政治家は当選するためには年配者に受けのよい政策を掲げることになるのも当然とも言えなくもありません。
ただ、 「現在の年金受給世代の年金支給額をカットも検討すべきだ」というような政治家がいれば私は応援します。
日々成長