課税売上割合に準ずる割合とは?(その3)
“課税売上割合に準ずる割合とは?(その2)“の続きです。今回は、税務通信3225号で「課税売上割合に準ずる割合」として認められる可能性があるとされていた以下の項目のうち残りの③床面積割合、④取引件数割合について内容を確認していきます。
①事業部門割合
②従業員割合
③床面積割合
④取引件数割合
なお上記の割合については国税庁が公表している「-平成 23 年6月の消費税法の一部改正関係- 「95%ルール」の適用要件の見直しを踏まえた仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A〔Ⅰ〕【基本的な考え方編】 」の問23~問26で取り上げられている項目となっています。
3.床面積割合
これは、①専用床面積に比例して支出されると認められる共通仕入分について、②床面積を課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に係る業務ごとに区分できる場合に、床面積の割合で「課税売上割合に準ずる割合」を算出する方法です。算式で示すと以下のようになります。
上記の算式において、課税資産の譲渡等及び非課税資産の譲渡等の双方の業務で使用する専用床面積については、原則として分母、分子のいずれにも含めないものとされています。
例えば、各区分の床面積が以下の通りであったとします。
①課税資産の譲渡等に係る業務でのみ使用する床面積 3000㎡
②非課税資産の譲渡等に係る業務でのみ使用する床面積 1000㎡
③課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等の双方の業務で使用する床面積 1500㎡
この場合、上記の③は床面積割合の算出には関係せず
①÷(①+②)=3000/(3000+1000)=75%と計算されます。
また、床面積の使用割合の判定日は、原則として課税期間の末日の現況によるとされています。
4.取引件数割合
これは、①取引件数に比例して支出されると認められる共通仕入分について、②取引件数を課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に係る件数に区分できる場合に、取引件数の割合で「課税売上割合に準ずる割合」を算出する方法です。算式で示すと以下のようになります。
税務通信の記事では、「取引件数割合を適用することが認められる共通用課税仕入れは、製造原価に含まれるもの以外のもので、取引件数に比例して支出されると認められるものが対象となると考えられます。」と述べられています。
特に具体例は記載されていませんが、例えば、戸建て販売を行っている事業者の営業部門で雑用を担当している派遣社員の派遣費用というのは取引件数割合を使用できる可能性があるのではないかと思います。
納税者にとって有利かつ実態に即していると説明可能な割合を検討する必要がありそうです。
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