閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

資本剰余金を原資とする配当は税務上の取扱いにも注意

今回は、資本剰余金を原資とする配当についてです。

会社法の分配可能利益の定めはごちゃごちゃ書いてあるのですが、結局のところ「その他資本剰余金」+「その他利益剰余金」となり、この範囲で剰余金の配当を行うことが認められています(会社法453条、446条)。

そして、会社法上は剰余金の配当をする場合の原資を、その他資本剰余とすかその他利益剰余金とするかは会社が決定することができるとされています。したがって、その決定に従って会計処理(どちらの剰余金をいくら減額するか)も行うことになります。

実際に「その他資本剰余金」を原資として剰余金の配当を行っているような会社があるのかを調べてみたところ、数は少ないもののいくつかの会社が見つかりました。

1.㈱オストジャパングループ(2011年6月期)

この会社では、連結株主資本等変動計算書関係の注記に以下のような記載があります。

なぜ「その他資本剰余金」を原資としているのかについては、以下の親会社の純資産の部をみるとわかります。

上記のとおり、そもそも親会社の利益剰余金がマイナスであるため、原資を「その他の資本剰余金」に求めるしかなかったということのようです。親会社がこのような状況にあるなかで敢えて配当をするケースは稀ではないかと思いますが、連結BSでは利益剰余金がプラスとなっており配当すべきという考えだったのかもしれません。

2.AOCホールディングス(2011年3月期)

この会社も、連結株主資本等変動計算書関係の注記に以下のような記載があります。

この会社の場合は以下のように、親会社単体の純資産の部で、70百万円の利益剰余金を計上していますが、配当しようとする金額(463百万円)には足りず、配当原資を「その他資本剰余金」としているようです。

なお、その他資本剰余金を原資とする場合の配当については税務上の取扱いに注意が必要なようです。つまり、資本剰余金を配当原資とする場合には、資本金等の額と利益積立金額の割合に応じて、当該配当総額のうち①資本金等の額に対応する部分については、その金額のうち株主の保有割合に相当する金額を株式の譲渡対価として譲渡損益課税が行われ(法法61の2⑰、措法37の10③三)、②利益積立金に対応する部分はみなし配当となり(法法24①三、所法25①三)、受取配当金として処理されることになります。

このため、その他の資本剰余金を原資とした配当の場合は、利益剰余金を原資とする配当と税負担関係が変わってくることになります。そのため、法人税法では平成18年の税制改正によって、利益剰余金と資本剰余金双方を原資とするような配当を行った場合には、まず資本剰余金の減少額の範囲内で資本金等の額を減少させ、交付した金銭等のうち減少資本金等の額を超える部分の金額を利益積立金の額(株主にとっての受取配当額)とするとされています(法法24①、法令8①十九)。

このことからすると、たとえば上記のAOCホールディングの場合、通常の配当とは課税関係が異なります。この点について、同社のHPで確認すると、第9期期末配当に関するご説明という文書が掲載されており、以下のように述べられています。

株主の立場からすると、きちんと利益剰余金から配当できるようにしてよ!という感じではないかと思います。

日々成長

関連記事

  1. 消費税(その3)-個別対応方式の用途区分1

  2. 退職給付債務の計算方法を簡便法から原則法へ変更した場合の処理(そ…

  3. スマホを使用したスキャン保存が可能になるようです

  4. 2016年6月に日台租税条約が発効していました-繰延税金負債の計…

  5. 平成30年度税制改正を確認-法人税(その2)

  6. 適切な監査時間と監査報酬ってどれくらい?




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,947,562 アクセス
ページ上部へ戻る