物価上昇率2%はどの程度の水準か?
安倍政権は、日銀に対して、消費者物価の前年比上昇率2%の物価目標を設定するよう求めているというのは繰り返し伝えられていますが、「消費者物価の前年比上昇率2%」というのはどの程度の水準なのかがイマイチわかりません。
そこで、長期的な消費者物価の推移を確認してみることにしました。消費者物価の時系列データは、政府統計の総合窓口「e-Stat」で昭和45年(1970年)以降のデータが公表されています。が・・・、12月29日~1月3日までシステムメンテナンス中ということで、生データを確認できませんでした(メンテナンス期間長すぎませんかね・・・)。
仕方がないのでウィキペディアに掲載されていた消費者物価指数のグラフを借用させていたくことにしました。
正確な数値がわかりませんが、バブル景気(1986年~1991年)の後半にあたる89年~92年が対前年比で概ね3%前後となっています。それ以降は、右肩下がりで低下していき、97年および2008年に局地的に2%を超えているように見えますが、長続きしていません。
1993年(平成5年以降)のデータについては、総務省統計局のHPで確認できたので、もう少し大きなグラフを転載すると、以下のようになっています。
(出典:総務省統計局「PSI(ポケット統計情報)年報 消費者物価指数(全国)の前年同月比の推移」より)
1993年以降、生鮮食品を除く総合指数が2%を超えているのは1997年4月~1998年1月(平均2.14%)と2008年7月~9月(平均2.4%)のみとなっています。
このような状況からすると、2%というのは結構高いハードルのように感じられます。もっとも物価上昇が目的というよりは、消費者にインフレ期待を生じさせることによって「早くお金を使わないと」という気にさせることが狙いなので、そこまで徹底的にやるという姿勢を示したいための数値と考えれば意味があるのかもしれません。
理屈としてインフレ期待が消費を促進するというのは理解できなくはないのですが、個人的な実感としては、デフレだから消費を控えているということはなく、必要なもので資金があれば購入しているという気がするので、インフレ期待で消費を増やす人がどれだけいるのかは疑問です。富裕層あるいは金融資産の大半を保有していると言われる高年齢者が消費を増やして、マクロ的に景気が良くなるというのは無理がありそうです。
財政政策も組み合わせて実施するとのことなので、その効果をいかにうまく景気回復という印象として国民に刷り込めるかが重要なのかもしれません。
ドルも1$=87円台に乗せて円安方向に推移しており、円高がすべての元凶という言い訳も次第に使えなくなってきています。株価はあがれど景気回復は実感できずという事態だけは避けてもらいたいと思います。私のように、使えるお金があれば使い道はいくらでもあるという人は多いのではないかと思いますが、そういう人にお金が回ってくる年になるといいですね。
日々成長