2015年度の初任給水準調査-労務行政研究所調べ
株価の時価総額がバブル期を超えたと報道されており、就職活動についてもバブル期さながらの豪華な会社説明会も出てきていると報道されており、初任給はどうなるのかについても気になるところですが、労政時報第3888号に「<速報>2015年度決定初任給の水準」という記事が掲載されていました。
まず最初に、この調査は結果は東証1部上場企業218社についての結果ですので、その点はご留意ください。
さて、気になる回答結果ですが、39.9%の企業が初任給を「全学歴引き上げ」るとしており、大卒の初任給は20万8700円で前年度比0.7%の上昇とのことです。
ちなみに前年同期の調査結果では、「全学歴引き上げ」と回答した企業の割合が23.2%であったため、今期は約17ポイントの増加という結果になっています。同記事では「今春闘交渉では、昨年に続きベースアップや賃金改善の実施が相次いでいることから初任給についても引き上げる企業が増えたものといえる」と分析されています。
しかしながら、回答結果としては前年と同額に据え置きとした企業が58.7%を占めていますし、繰り返しになりますが東証1部の上場企業の回答結果ですので、世間一般的に初任給が引き上げられているというまでではないように思います。
とはいえ、就職活動時期の変更により中小企業では優秀な学生を採用するのが困難になってきているという話をよく耳にしますので、大企業と元々給与水準に差がある中で、平均すれば1%に満たない金額であっても、さらに給与水準に差が開くのは中小企業にとっては頭が痛い問題ではあります。
上記の記事によると、学歴別の初任給水準は以下のとおりとされています。
大学卒・・・20万8722円
大学院卒修士・・・22万5094円
大学院卒博士・・・23万9615円
短大卒・・・17万6392円
専門学校卒・・・17万7676円
高専卒・・・18万5299円
高校卒・・・16万3689円
大卒の初任給についてみると、0.7%あがったとはいうものの、20年前とくらべてもあまりかわっていないのではないかと思い確認してみると、労政時報3549号に掲載されていた2002年度の初任給調査の最終結果では、大卒で20万1235円(東証1部上場企業)とされていました。20年前とまではいきませんが、約10年前と比べると約7000円の上昇ということで、今までほとんど初任給に変動はなかったということがよくわかります。
初任給引き上げの回答数が増加するのか最終結果にも注目したいと思います。
日々成長