開示すべき重要な不備が倍増ー平成27年3月期
経営財務3228号のニュースで「開示すべき重要な不備、27年3月期は15社」という記事が掲載されていました。
全体で15社ではありますが、前期と比較すると7社増加ということで、件数としては倍増という結果になっています。
重要な不備を開示する会社というとなんとなくマザーズ市場をイメージしてしまいますが、実際には東証一部とJASDAQがともに6社で最多となっており、残り3社は札証、名証、東証マザーズがそれぞれ1社とのことでした。新興市場という意味ではJQとマザーズで7社ですが、個人的にはやや意外な結果でした。
不備の内容は、会計処理や不動産鑑定業者の鑑定結果の誤り等が7社、不適切会計等が4社、元従業員等による不正行為に関連するもの等が2社、その他が2社とされています。
重要な不備を開示した15社は以下のとおりです。
- アイセイ薬局(JQ)
- レシップホールディングス(東一)
- 新日本建設(東一)
- 北越紀州製紙(東一)
- SJI(JQ)
- LIXILグループ(東一)
- 地盤ネットホールディングス(東マ)
- かわでん(JQ)
- 岡本硝子(JQ)
- シーエスロジネット(JQ)
- グローバルアジアホールディングス(JQ)
- オーイズミ(東一)
- フタバ産業(東一)
- ロジネット ジャパン(札証)
- オプトロム(名証)
上記の中で興味深いのはシーエスロジネットの事例です。同社の開示内容のうち決算・財務報告プロセスにおける内部統制の不備については以下のようになっています。
「平成26年12月に取締役管理部長が辞任により退任し,平成27年2月に経理課長が退職し,平成27年3月には,従前より在職していた経理課の社員4名全員が退職したことにより,連結財務諸表等に必要な書類の作成に遅れが生じ,承認手続きが不十分であったため,誤りを社内で発見することができず,監査人より会計処理及び連結財務諸表等開示に関する多数の誤りの指摘を受けました。」
これだけ大量に経理部門の人材が辞めていくのはどういったことなのかという興味がわくところです。平成27年3月期の業績は売上は前年比約2割減となっており、営業利益、経常利益は約2億円で前年より改善していますが最終損益は損失で前年以上に損失が拡大しています。
営業利益、経常利益のためにかなり管理部門に負荷がかかったのかなという気はします。同社の会計監査人は3月期の定時株主総会で三優監査法人から監査法人アヴァンティアに変更されています。中堅監査法人も会計監査人を継続していない状況から推測するとあまりよい状況ではないように思います。
なお第1四半期の短信は8月14日に開示していますが、前年の第1四半期は8月8日であったのでやはり影響はあるようです。
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